政府が掲げる医学部の定員拡大に対し、医師らが反対を表明し集団ストライキを続けている。政府は今年の高校3年生が医学部に進学する2025年度より、医学部の定員を従来の3058人から5058人へと2000人増員する方針を明らかにした。その根拠としては、韓国保健社会研究院と韓国開発研究院(KDI)が「2035年に医師1万5000人が不足する」との見通しを示したからだ。
これに反発した医師団は集団でストライキを決行した。専攻医は集団で辞表を提出し、医学生は休学届を出した。専攻医とは、医師免許(一般医)を取得した後、大学病院などで働くインターン(1年)とレジデント(3~4年)を指す。現在は全国に約1万3000人の専攻医がおり、11万人いる国内の医師のうち10%強にあたる。
韓国の人口は減少に転じたが、医療サービスの需要が多い高齢者人口は急増している。このため、医師の需要は増え続ける構造だ。
現在も韓国の医師数は不足している。保健福祉部の資料によると、人口1000人当たりの医師数は2・23人で、これはOECD加盟国の平均医師数(3・7人)よりもはるかに少ない。
一般国民はこの問題について政府に賛同しているようだ。韓国ギャラップが行った最近の世論調査によると、回答者の76%が医学部の定員拡大に賛成し、反対は16%にとどまった。政府は20年のコロナ禍にも医学部の増員を推進したが、医師団体が集団ストライキに突入したため、方針を撤回した経緯がある。
(ソウル=李民晧)
ソウルの大学病院で診察を待つ患者 |