今月20日、監査院が公開したレポート「在外公館の運営実態」では、在外公館の信頼性が低い理由を明確に示している。監査院は「外交部に駐在官の業務遂行基準を設け、彼らの業務実績に対する評価項目を新設するといった改善策が必要」と指摘した。
原因の発端となった公館として挙がったのが駐日韓国大使館と大阪総領事館だ。駐日韓国大使館の関税官B氏は、昨年の監査日基準直前の1年間、出勤日218日のうち150日もの遅刻があった。客観的に見ても明らかに勤務態度に問題のあるB氏だが、実際の評価は最高ランクで、「誠実性」と「戦略的思考」においても高い評価を受けていた。これに対し、監査院は「形式的かつ温情的な評価だ」と指摘した。
大阪総領事館は、2021年1月に専門職行政職員を採用する際、筆記と面接の点数がより高い応募者がいたにもかかわらず、別の人物を採用した。監査院は、「領事館側が恣意的に業務の安定性という基準を設定して職員を採用した」と指摘。また、監査院は外交部に対し、採用を担当していた大阪総領事館の領事を懲戒処分にするよう求めた。
116の大使館と46の総領事館、計188の在外公館は、外交部に所属する職員と他の省庁から派遣された駐在官で構成されている。以前から指摘されていたのは、「外交官は特権意識が強く、駐在員は3年間の海外赴任期間を外遊感覚で過ごしており、業務に対する緊張感に乏しい」ということだ。
海外旅行が一般化した昨今、韓国の旅行者の間では、「緊急事態が発生した場合、韓国公館ではなく日本の公館に駆け込むべきだ」とのうわさが拡散している。日本の公館では法律や医療情報を得ることができるが、韓国の公館は電話ですらほとんど受け付けてもらえない、との話も流布している。
公館職員は、外国に永住している同胞からも「不信感」をもたれ、衝突するケースも少なくない。大使が着任して最初にもらうアドバイスは「現地の在外同胞とは『不可近不可遠(適度な距離を保つ)』というものだ。これに権力者から指示されたコネ人材まで加わるため、「海外で味方同士が争っている」との指摘もある。在外公館は外交部の予算3兆53億ウォンのうち22・8%にあたる6853億ウォンを使う巨大組織だ。現在のように「不信感」の対象となるほど本来の業務を怠っているという事実はとうてい看過できない重大な背信行為といえるだろう。
(ソウル=李民晧) |