昨年はコロナ明けと首脳会談が重なり、韓日関係は雪解けムードに好転した。海外からの観光客数で互いに1位になったことも、関係改善を象徴するものだ。一方で外国への観光旅行が一般化しつつある韓国と、いまだ国外旅行者がコロナ前の半分ほどの水準までしか回復していない日本の現況から、両国の相違点も見えてくる。関係者に取材した。
日本の海外旅行は回復鈍く
韓国観光公社と日本政府観光局(JNTO)の先月31日までの発表によると、昨年に韓国を訪れた日本人客は232万人で、訪韓外国人客(1103万人)の21・0%を占めた。2位の中国人客202万人を30万人上回っている。半面、昨年の訪日韓国人客は696万人で、外国人客2507万人の27・8%を占めた。2位の台湾人客は420万人。
日本を訪れた韓国人客は、韓国を訪れた日本人客の約3倍であった点が注目される。
■日本での国外旅行は低迷
JNTOの資料によると、コロナ前の2019年の出国日本人数が2008万669人であったのに対し、昨年は962万4100人で52・1%減となっている。
一方、韓国は昨年、コロナ以前の国外旅行者数を回復できた。
韓国旅行専門の日本の旅行会社「三進トラベルサービス」の立木健康・代表取締役によると、「春先、これからということであれば話は別だが、昨年中の旅行者数の増加は、実感としてあまり感じていない。12月にソウルを訪れたが、街並みにあふれた旅行者は東南アジアか欧米人が主流だった」としている。
韓国旅行に限っても、コロナ明けの旅行者数の回復は感じられないというのが実態に近いようである。
■韓日旅行の隆盛に期待
立木代表は「コロナが明けて、国外への旅行に期待を寄せる層は多くなったが、近場の韓国でも価格相場が高騰しており、かつて3万~4万円で週末などに気軽に行けた『近くて安い』外国の定番だった韓国のイメージが様変わりしているため、見積もりでやめてしまうケースも多い」と話した。
日本での「韓流」のなりたちに詳しい国士舘大学韓国語講師の崔貞児さんは、韓国に比して国外旅行が回復しない日本の現状について、「一人当たりの国民所得(GDP)が似ている韓日で傾向の違いがあるのは、韓国で一般的に海外に出ていくことを広く自己啓発のための『投資』とみているのに対し、日本は費用回収などの見通しが立たない否定的なものとみているのではないか」としている。日本人は韓国人に比べると、パスポートの所持率も非常に低いという。
円安の影響もあり、かつて「安くて近い」旅行先だったイメージが逆転していて、訪韓客の3倍を記録した昨年の訪日客の実績には隔世の感が漂っている。
旅行に限らず、留学や仕事での訪問を含めた実績が上向いてこそ、「双方で1位」を心から喜べるようになるのではないだろうか。
互いの国を実際に訪れて深く知ることで、先入観や偏見を超えた新たな交流が生まれることを期待したい。
| | 写真はドジャースの開幕戦で大谷翔平選手が出場する可能性のある高尺スカイドーム。三進トラベルサービスではツアーも組まれている(写真:吉村剛史) |