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最終更新日: 2024-11-19 12:39:03
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2024年02月14日 10:10
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新解釈日本書記「続」応神 幻の大和朝廷 第29回 伴野麓

 『日本書紀』を韓語で読む研究の成果だと思うのだが、魑魅魍魎のようなとんでもない解釈が今なお横行しているのだ。そのような見当違いの解釈が、疑問も呈されずに平安時代から続いてきたということは、まさに驚天動地というほかない。
その遠因は、平安時代の「日本紀講筵と竟宴」という宮廷行事の学習にあったと思われる。『日本書紀』を正史として学ぶ行事で、30年おきに1回開催され、数年かけて全30巻の講義を行ったという。そこでの学習が金科玉条のごとく、異議をはさむことも許されず正当化することを暗黙の了解事として、踏襲されてきたと思われる。
思うに、その『日本書紀』を読み合わせる行事を通じて、『日本書紀』のウソがホントに錯覚され、奇怪を奇怪とせずに、正当化する論述があれこれ考えだされたということだろう。それは、韓地から倭地に渡来してきたことを曖昧にする”韓隠し”でもあったと思われる。
暗闇に恐怖を覚えるように、そうした曖昧さが畏怖を与え、権威づけに貢献するという、あってはならない方向に進んでしまったともいえる。そのような歴史観が、以後の日本を支配し、今なお続いているように感じる。その歴史観を糺そうという動きの多くは封殺されているといっても過言ではなく、渡来を云々する歴史観は今なおマイノリティといってもよい。
江戸時代、藤井貞幹の韓籍などを参考にした解釈が、本居宣長らによって中傷誹謗されたようなことが、それを物語るものだ。現代でも、騎馬民族説などが異端視されている。そうした”韓隠し”が日本の歴史学といってもいいように思われる。
ところで、欠史9代にはいる孝昭だが、そのときに大神を奉斎していたのはホアカリ=ニギハヤヒの裔孫である出石心大臣だという。であれば、古代の祭政一致の事情から、出石心が孝昭の実体であった可能性が高く、であれば出石心は但馬の出石に由縁が深いアマノヒボコ(天日槍)に通じていくということになる。
『記・紀』にはその名前を見ないのだが、『海部氏勘注系図』や『尾張氏系図』、あるいは『和邇氏系図』などに表れる建田背が、重要な働きを担っているのが浮き彫りになってくる。建田背の妹の宇那比姫が孝昭の兄・天足彦国押人の妻となり、押姫(忍鹿比売)と和邇日子押人を生んでいるのだ。
建田背の別名が笠水彦・天御蔭・清日子・高天彦・大宇那比・建日潟・日高彦・大海宿禰などと実に多い。大己貴も建田背の別名であるとすれば、『日本書紀』の大己貴や『古事記』の大名持と同一人(神)格ということにもなり、清日子などはアマノヒボコに通じる名前になる。であれば、建田背を徹底追究する必要があるように思われる。

〔孝安紀〕

マルチ人(神)格の建田背は痕跡が消された


孝昭は伽耶から最初に渡来してきた王ということを明らかにし、その実体はアマノヒボコ(天日槍)を想起させる出石心と考定したが、『記・紀』には出石心の名前は見えない。

2402-14-06 6面
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