4月の総選挙が尹錫悦政権に対する中間評価の性格が固まり、出馬者たちの輪郭が明らかになっている。こういったなか与党に対する悪材料が浮上、民心を揺らしている。文在寅政権の「検察カルテル」の専横が法廷で断罪されたのだ。ソウル中央地裁は「経営権不法承継」で起訴された李在鎔サムスン電子会長の1審裁判で、19件の嫌疑すべてに無罪を宣告した。この事件も検察が文在寅集団の反企業情緒に迎合し起訴した事件だ。いま、韓東勳非対委員長は、選挙指揮より先に国民に説明と謝罪をせねばならない。
総選挙目前の政局で与野党ともに混乱と緊張が流れる。与党は尹大統領と韓東勳非対委員長の葛藤が表面上は縫合されたもののさまざまな不安要因が蓄積しつつ内燃している。
与党は政局の主導権を握れず、尹錫悦・韓東勳チームは、李在明が率いる野党に苦戦する状況を打開するため、あらゆるポピュリズム政策を打ち出している。票を得るのに効果があるのかも疑問で、政府が致命的に信頼を失うといった側面も大きい。
総選挙はそもそも政権に対する審判だ。就任2年も経っていない尹大統領と与党に悪材料が続いているのは、尹大統領が就任後、やらねばならなかった文在寅政権の不法・不正への剔抉の責務を行わなかった自業自得である。
文在寅、尹錫悦、韓東勳は、朴槿惠大統領と梁承泰大法院長などに対する不法的捜査に加担した責任を取らねばならない。それにもかかわらず、彼らは沈黙している。
特に韓東勳は「大法院の要請で梁承泰元大法院長を拘束、起訴した」と話し、自ら「文在寅の走狗」だったことを自白した。さらに、尹政権の検察は、梁承泰大法院長などに対する無罪判決に承諾せず、抗告した。
このような韓東勳と与党に致命傷を加えたのが李在鎔裁判だ。
ソウル中央地裁刑事252部(裁判長朴正済)は5日、資本市場法違反、背任などの容疑で起訴された李在鎔会長に無罪を宣告した。李会長と共に起訴された崔志成元サムスングループ未来戦略室長など残りの被告の13人も無罪が宣告された。
李在鎔会長の「経営権不法承継」事件は2016年12月、朴英洙特別検査チームの「国政壟断捜査」が作った事件だ。
李会長が朴槿惠大統領に賄賂を渡したという疑いで李会長を裁判にかけ、李会長は21年にこの事件で懲役2年6カ月の実刑が確定した。
すでに処罰した事件を、角度を変えて李会長を起訴した張本人が、ソウル中央地検(尹錫悦地検長)の3次長検事だった韓東勳「国民の力」非常対策委員長だ。
李会長側が検察の起訴が妥当かどうかの判断を仰ぎ召集を要請した「検察捜査審議委員会」(捜審委)が20年6月26日、李会長に対する「不起訴・捜査中断」を議決したが、検察は捜審委の勧告を受け入れず20年9月1日、李会長を不拘束起訴した。検察が捜審委員の勧告に従わなかった最初の事例だ。
韓東勳は、自分が懲役30年重刑を求刑した朴元大統領の誕生日(2日)にお祝いの蘭を送り、教えを受けたいと言ったという。
国民は政治工学やポピュリズムより良識のある政治家を望む。不正選挙と戦う右派から総選挙ボイコットの主張が出る理由だ。
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