政府はこのほど、首都圏広域急行鉄道(GTX)と地方大都市広域急行鉄道などに134兆ウォンを投じる計画を発表した。これにより、首都圏からの「通勤30分」時代が到来し、大都市が「メガシティー」へと拡大した場合でも「通勤1時間以内」の生活を実現できる、という構想だ。
一方で、財政面の不確実性から実現の可能性について否定的な意見も上がっている。政府は事業費の56%を民間から募るとしているが、民間企業はSOC事業への参加に及び腰となるケースが多い。
「GTX時代」構想は理想的だ。第1期として発表されたABC路線の終点を延長し、第2期にはDEF路線を新設することが発表された。北は京畿道東豆川、東は江原道春川と原州、南は忠清南道牙山までGTXを延伸し、「通勤30分時代」を開くというのが政府の構想だ。
政府は今年3月にも「GTX A」水西~東灘区間を開通させ、下半期には「GTX A」ソウル駅~坡州運井区間を追加で開通する計画だ。続いて2028年までに「GTX A」路線を京畿道平沢市まで延伸し、C路線(東豆市~牙山市)とB路線(仁川大学入口~春川市)についても30年の開通を目処に推進することを明らかにした。地方ではGTXと同等の広域急行鉄道(xTX)敷設を大田・世宗・忠北圏で推進した後、他の地域へ拡大するという。
こうした政府の計画は国民の意向に沿ったものだ。韓国人の通勤時間は平均で1日72分、首都圏に至っては83分で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では1位と最も長い。交通網の拡充が必要なのは間違いない。
事業の行方を左右するのは事業費の調達だ。予想される総事業費だけでも134兆ウォンを要し、このうち75兆ウォン以上は民間から調達しなければならない。中央政府の負担は22%の30兆ウォンにすぎない。
しかし、民間の建設会社は近年、不動産プロジェクトファイナンス(PF)の不振により資金難に陥っているケースが多々発生してる。破綻の危機に直面している企業も少なくない。
こうした点を踏まえ、4月の国会議員総選挙を控えた政府が、首都圏の票田を意識し慌てて青写真を描いた、との指摘もある。計画だけはあるものの、実現の可能性はゼロに等しい「飛ばし」の約束である、というものだ。
民間企業が大規模インフラ事業に参入するには収益性の確保が必須となる一方、本事業において収益が見込める区間はそう多くない。経済性が最も高いとされる「GTX A」路線が2回にわたって部分的に開通を進める理由も、その点がたぶんに関係している。停車駅の中で第1繁華街にあるソウル江南のサムソン駅ですら投資する建設会社が現れないのだ。
列車の利用料金を設定する際も、経済性より政治的な事情が優先する可能性がある。そのため、民間企業は政府に対して損失分の補填を事前に担保してもらったり、それらの内容が盛り込まれた協約書を求めてくる可能性も考えられる。つまり、予算的にも想定をはるかに上回る可能性があるのだ。計画を実現するには、この先も越えるべきハードルが幾重にも連なっているのだ。
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