尹錫悦大統領は１日、新年のあいさつを行い、国民生活の課題解決に向けた政策について話した。「２０２４年は韓国が再跳躍を始める重大な転換点になるだろう」とし「今年は輸出における改善が景気の回復と成長を促し、物価も一層安定する」と展望を語った。４日には韓国政府が「２０２４年経済政策の方向性」を発表し、今年の経済政策の方向性を明確に示した。

　韓国政府は４日、大統領主宰で「国民と共にする民生討論会・第１回、活力ある民生経済」を開催し、「２０２４年経済政策の方向性」を発表した。
同席上で（１）物価安定（２）中小企業の負担軽減（３）内需活性化を今年の課題とし、問題解決のために総力戦を展開すると明らかにした。年間予算の７５％を上半期（１～６月）に投入する計画も発表した。
物価対策として１１兆ウォン規模の予算を投入し、税制、財政インセンティブで消費回復を支援する。上半期中に消費者物価上昇率を２％台まで引き下げることを目標とした。農水産物割引支援、エネルギーバウチャーなど物価管理・対応予算を２３年より１兆８０００億ウォン増やし計１０兆８０００億ウォンを投じる。中央・地方公共料金については物価安定への貢献度を経営評価に反映する。果物価格の安定化のため、過去最高水準の関税免除・引き下げも実施する。電気・ガス代などの公共料金を上半期に据え置き、中小格安携帯電話の電波使用料の一部を減免する措置を今年末から２６年末まで延長する。中央・地方公共料金について上半期に凍結基調を維持し、物価安定への貢献度を経営評価に反映する。
物価安定とともに、自営業者・中小零細企業の経営負担を減らす政策も発表した。「中小企業応援３大パッケージ」とし、（１）１２６万人の中小企業従事者に２０万ウォンずつ計２５２０億ウォン規模の電気代を支援する（２）貯蓄銀行など第２金融圏で年５～７％の金利で融資を受けた自営業者・零細企業の利息の一部をキャッシュバックし、年７％以上の融資を年５・５％以下の融資に変更できるように支援する（３）税額を優遇する付加価値税簡易課税者の基準（現行の年間売上高８０００万ウォン未満）を引き上げて対象を拡大する。さらに、納税期限の延長措置も発表。建設・製造業、飲食・宿泊業従事者のうち１２０万人の付加価値税及び法人税の納付期限をそれぞれ２～３カ月遅らせることにした。また、税金を納付するのが難しい中小企業などは最長９カ月まで期限が延長される。
輸出７０００億ドルを目標に３５５兆ウォンの貿易金融を供給し、研究開発（Ｒ＆Ｄ）投資拡大のための税額控除率も１０％引き上げる。上半期中に２％台の物価安定を早期に達成するため、農水産物割引支援、エネルギーバウチャーなど物価管理・対応予算を２３年より１兆８０００億ウォン増やした計１０兆８０００億ウォンを支援する。
内需活性化のため、昨年より５％以上増加した上半期のカード決済額に対して２０％の追加所得控除を行うことを決めた。老朽化した車両を買い替えれば、一時的に個別消費税を７０％引き下げ、中小企業に勤める若者の賃貸資金融資限度額を１億ウォンから２億ウォンに拡大する。電気自動車（ＥＶ）は、業界の価格引き下げに比例して購入補助金を追加支給する。昨年９～１２月限定で最大１００万ウォンの追加補助金を支給したことを考慮し、支給規模を確定する計画だ。
酒類など主要業種の競争制限的な参入障壁の改善、巨大プラットフォームの独占乱用抑制、職務と成果中心の賃金体系の改編にも取り組む。
「２０２４年経済政策の方向性」に対し、韓国経済人協会は「政府のダイナミック経済の実現は、韓国経済の活力と未来成長動力の確保に大きな力になる」と評価。中小企業中央会は「中小企業界が提案してきた企業投資促進とＫ輸出活性化のための実効性のある政策が大幅に反映された」とコメント。韓国経営者総会は「規制革新と労働改革、税制改善などの課題を滞りなく進めてほしい」と要請するなど、経済団体からは肯定的な評価を受けた。