昨年の11月23日、南北軍事分野合意書を破棄した金正恩は、今年の新年辞に該当する、労働党中央委全員会議の総括(12月30日)を通じ、「南北関係は、もはや同族関係ではなく、敵対的な交戦国関係」と再規定、「有事の際に核武力を含め、あらゆる物理的手段と力量を動員して南朝鮮全領土の平定を準備するための大事変の準備に拍車をかけ続ける」と宣言した。ロシアのクレムリン宮代弁人は15日、崔善姫北韓外務相のロシア公式訪問に合わせ、プーチン大統領の平壤訪問が近いうちに行われると発表し、北韓と全方位的に協力関係を発展させると言った。ロシアと北側の密着を遮断する尹錫悦政権の対応が求められる。
ウクライナ戦争でNATO側の敗北が決定的となり、北側の行動が過激になっている。米国の影響力、経済・軍事的力の衰退が明確になった状況を逃していないのだ。
ウクライナを代理軍としたNATOとロシアの戦争で、米国が韓国と日本をこの代理戦に引き込み、ウクライナ戦争が西太平洋に拡張された状況が作られるや、核開発で国際的制裁を受けた北韓が、この状況を長い制裁と孤立からの脱皮機会にした。特に「キャンプデービッド共同声明」(昨年8月18日)に刺激されたロシアは、金正恩のロシア訪問招待など、韓日米への対抗カードとして北韓を抱擁した。平壌側はこの状況を逃していない。
金正恩は12月30日、労働党中央委全員会議で、南北関係と統一政策に対する立場を新たに確立し「対敵事業」において断固たる政策転換を指示した。平壌の中央通信は1日、「金正恩同志が党中央委員会第8期第9次全員会議で、対南・対敵部門の機構を廃止・整理し、根本的な闘争原則と方向を切り替えるために提示された課題を徹底的に貫徹するため、崔善姫外務相が対南部門の働き手たちと協議会を行った」と報道した。
専門家たちは、崔外務相が、自身より党的地位が高かった統戦部長の李善權などを招集して会議を行った事実、金正恩が対南機構を整備するよう指示した事実などから、平壌側は党の統一戦線事業部を解体、その機能の大部分を外務省に統合するものと観測している。外務省が統一業務を管長した祖国統一局を拡大、統戦部の対南交流・対話協力部門を管轄する部署を吸収、組織を新設すると予想される。つまり、統戦部の業務を今後、金正恩が言った通り「敵対的な国家対国家」関係として外務省が担当する可能性がある。
南北間の軍事的緊張も高まっている。尹錫悦政権は、北側が開城工業団地への陸路に地雷を埋設したことが確認されると4日、開城工業地区支援財団を解散することに決めたが、翌日の5日から南北は、西海で北側4軍団の先制砲撃で、海上砲撃対応を行った。北側は6、7日にも海上砲撃挑発を続けた。
このような状況で韓国のウクライナ支援に対して報復を警告してきたロシアは、北側との協力拡大を実践している。セルゲイ・ラブロフ外交部長の招請で崔善姫外務相が率いる代表団が15日から17日までモスクワを公式訪問した。
クレムリン宮は15日、「プーチンの訪朝が近いうちに行われることを望んでおり、日程は外交経路を通じて合意される」と発表、崔善姫外務相のロシア公式訪問に合わせて北側と全方位的に協力関係を発展させるとも言った。
崔善姫はラブロフとは16日に会う予定だが、プーチンとの会談はまだ発表されていない。クレムリン宮代弁人は、ロシアと北韓が昨年9月の首脳会談の協議内容を議論、「有益で強い交渉を期待する」「北韓はわれわれの最も近い隣人で、あらゆる分野で関係を発展させる」と述べた。
|