「利を見て義を忘れる」
韓国の大学教授が、今年の四字熟語に「見利忘義」を選んだ。先ごろ教授新聞社が大学教授1315人を対象にアンケートを行ったところ、「見利忘義」が396票(30・1%)を獲得し1位となった。
論語憲問篇には「利を見ては義を思う」という意味の「見利思義」という言葉が登場するが、今年の四字熟語はこれと正反対の意味を表わす「見利忘義」が選ばれた。
全北大中文科の金炳基名誉教授は、「今、韓国社会は見利忘義の現象が横行し、国全体が生存をかけた戦場になったかのようだ。政治とは本来、国民を正しく統治して導くという意味を持つ。しかし今日の韓国の政治家は正しい方向に導くのではなく、自分にとって都合の良い利益だけを考えているようだ」と説明した。
このように「見利忘義」は、私利私欲に目がくらみ公益と他者への思いやり、社会貢献を忘れている韓国社会の世相を映し出していると言えるだろう。
2023年を振り返ると、連日ネガティブなニュースで埋め尽くされていた。政治家や高官による大小の不正をはじめ、一般社会でも住宅分譲詐欺やフィッシング詐欺などが横行していた。
教授らの指摘どおり、韓国社会が「見利忘義」の巨大な檻へと変貌してしまった印象だ。
教授らは、社会全体に大義と価値が失われたことに共感を示した後、「利益の追求が優先され、価値を喪失する時代になった」「自らの利益だけを追求するため、社会を構成する人々の信頼関係が崩れ、社会の進むべき方向が不明瞭になっている」などの意見を唱えた。
|