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2023年12月28日 10:12
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識者に聞く1 李大淳・韓日協力委員会委員長
韓日が手を携えて平和の構築を

 韓日関係において、両国がより実質的なパートナーシップを実現するためには何が必要なのか。尹錫悦大統領が訪日した昨春を皮切りに、1年間で7回もの韓日首脳会談が行われた。かつてない速さで両国の関係は改善へと向かっている。しかし歴史問題を筆頭に両国間でくすぶり続ける負の感情が消えないかぎり、常に関係悪化のリスクをはらんでいるとも言える。韓日関係に詳しい李大淳・韓日協力委員会委員長、日韓親善協会中央会会長を務めるなど韓日交流に尽力してきた河村建夫元内閣官房長官に話を聞いた。

 


 尹錫悦大統領が意欲的に日本との対話に乗り出したのはなぜか。

「尹大統領は世界史の流れをよく把握している。世界は、今『新冷戦』時代へと突入している。転換期だ。韓国はまさに未来に向けた選択を迫られていた。今日の選択が明日を左右するということだ。韓日関係の改善へと舵を切ったのは、世界史の潮流をうまくつかむことができた結果ではないだろうか」

韓日間の会談は、韓米日の3カ国会談へと発展しました。世界史的に見て、どのような意義を持つのか。


「かつて韓国は先進国入りを目指していたが、現在では先進国と肩を並べ、世界を動かす国々の仲間入りを果たしている。つまり、まだ見ぬ未来をリードする役割を担うまでになったのだ。それを象徴しているのが、(米メリーランド州の米大統領別荘)キャンプ・デービッドで行われた3カ国首脳会談だ。韓国、米国、日本の首脳が一堂に会し、世界の未来と共助について議論を交わした。尹大統領は自由民主主義の未来を描くべくリードしてきた」

韓国と日本が足並みをそろえて世界をリードするには。


「国際社会では、米国が世界をリードすることに懐疑的な向きもある。そうした状況下において、世界を自由世界へとリードできる国はどこかと問われたら、私は『韓国と日本』と答えるだろう。両国が力を合わせれば東南アジアにおいては、自由民主主義陣営を結束させることができるだろう。そうした観点でいえば、韓日関係の改善に加え、東南アジアにまで交流の幅を拡大していく時期にきている。北韓、中国、ロシアといった共産勢力が拡大しているが、韓日は手を携えてアジアの平和を構築していかなければならない」

 1998年の韓日パートナーシップ、いわゆる金大中・小渕宣言を条約へと昇華させようという主張が一部で提起されている。

「基本的にはそのホスピタリティに重きを置くべきであり、それを条約に昇華させるとなれば新たな摩擦が起きる可能性がある。
両国には極端な勢力が存在する。日本には極右が、韓国には極左がいる。いずれも韓日関係の協力体制を妨害しようと目論む集団だ。両者とも反日、反韓で得られる利益があるため、彼らが反対勢力であることを認識し、両国の車輪を協力の方向へと力強く引っ張っていく必要がある」

 韓日関係をどのように展望するか。

「昨年が韓日関係改善のスタート地点だったとすれば、2024年は推進力を持ち、実質的な進展を遂げる年になるものと考えている。韓日協力の新時代を切り開くためには次世代教育、中高生らの交流を拡大・促進させることがカギとなる。そういった交流を重ねることで互いに対する理解の幅が広がっていくだろう」

民間が果たすべき具体的な役割にはどういったものが挙げられるか。


「韓日文化交流基金を活用し、青少年交流などの親善促進活動を支援するといいだろう。1980年代に日本で歴史教科書の歪曲問題が起きた際、それを解決したのは民間の韓日協力委員会だった。歴史や文化の問題は政治が介入すべきではないが、そうなると解決策を見出すことは途端に難しくなる。
民間の専門家が共同研究を行い、両国間の意見を詰めていけばいい。幸いにも、日本の経済界では韓日文化交流基金を集めようという動きも出ている。それに伴い、いずれ韓国の経済界も足並みをそろえていくだろう。基金を通じて、若者の理解と交流を促進させることが重要だ」

 韓日協力委員会は1969年に創設された民間団体で、両国の親善に大きく貢献してきた。これまでにどういった役割を果たしてきたのだろうか。

「両国関係の促進を目指す団体は複数存在するが、もっとも幅広く活動しているのが協力委員会だ。政治・経済・文化のエキスパートが集まり、政府では不可能なことを民間レベルで行う、という趣旨で誕生した。韓日国交正常化以降、複雑に絡み合った両国関係を民間レベルで紐解いていこう、という共感が両国の政治家の間で形成された格好だ。よって、同委員会のトップを務めるのは首相経験者だ」

 協力委員会は昨年、尹大統領が韓日関係改善を決意する上で大きな役割を果たしたと聞いている

「確かに、両国関係を雪解けへと導く役割は果たせたと思う。膠着状態が続く中、韓国側の協力委員長として日本側の麻生太郎委員長を招待し、尹錫悦大統領との面談へとつなげることができた。幸い、それが韓日関係改善の突破口となった。
麻生元首相とは昔から縁がある。一見とっつきにくいように思われがちだが、あれだけ人間味のある方も珍しい。昨年、韓日関係が急速に雪解けしたのも麻生委員長の果たした役割が大きかったと思う」

 尹大統領に今後の韓日関係改善に向けた提言があれば。

「歴史の方向性を定めることは非常に重要な問題だ。幸い、尹大統領は世界史の潮流をうまく読んでいる。国内には、成果を生み出そうとする大統領の足を引っ張り、妨害する勢力、親北勢力が暗躍しているが、そうした極左への批判が高まっているのを見て、韓国の未来は明るいと感じている。今は厳しい時期だ。国民の意識や産業構造の改革まで、先進国へと跳躍するフェーズに入っているからだ。大統領には信念を持ってリーダーシップを発揮してほしいと思っている」

 

李大淳(イ・デスン)全羅南道高興生まれ。ソウル大学卒、国会議員を経て韓日協力委員会委員長

 

2024-01-01 6面
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