ウクライナ戦争は様々な意味で戦争史、文明史に特別に記録される戦争だ。戦争はキーウ側(NATO)の敗北が明確だが、西欧はこれを認めずに混乱して誤った情報だけを出している。ウクライナ戦争の真実を知るためには、まずこの戦争の特徴を見なければならない。ヨーロッパで起きた前代未聞の大規模な代理戦なのに、数多くの媒体を持つ西欧は従軍記者たちの戦場への接近、取材を許していない。この戦争を企図、支援する米・英当局は、太平洋戦争の際の大本営発表のようにすべての情報を統制している。先進文明国である米・英・NATOなどは、この戦争の真実に迫ることを必死に遮断、多くを歪曲・捏造している。
虚偽情報を垂れ流す扇動メディア
ウクライナ戦争は、文明史においてかつて見たことのない凄まじいプロパガンダ戦争だ。一切のルールもなく物量に訴える認知操作戦争だ。結論を先に言えば、米・英は、圧倒的な媒体を動員、検閲と欺瞞、捏造で一貫してきた。そして韓国と日本のメディアは米・英のプロパガンダを忠実に伝えてきた。だが、米・英などの秘密主義と歪曲・捏造にもかかわらず、ウクライナ戦争の真実を探すのは難しいことではない。混乱し矛盾した情報の中から決定的な嘘を見つければ良いからだ。
まず人間社会において、嘘をついた場合、堂々とできない。この基準からみると、ウクライナ戦争を企画したNATO(米・英)側は、ロシアを悪魔化、自分たちが勝利していると主張してきたが、NATOの敗退は明白といえる。米・英は、これまで多くの嘘をついてきたため、それを今さら訂正できないだろう。ウクライナ戦争で西欧が作り出した偽りと欺瞞・捏造を見ると、西欧がこれまでに作った記録や歴史をすべて疑うべきではないかと考えさせられるほどだ。
プーチン大統領は昨年末、「プーチンに聞く今年の成果」という年次会見を4時間にわたり行った。国民を相手にしたこの会見で、西欧の嘘を余すところなく暴露した。プーチン大統領は、西欧がロシアに加えた制裁は、国際社会がイラン、シリア、北韓、ベラルーシ、ベネズエラ、ミャンマー、キューバに加えられたものを合わせた数より多く、1万8000件余りだと公開した。このうち1万5200件が2022年2月以降に加えられたものだ。
ウクライナ戦争から22カ月が経過したが、制裁を受けたロシアはさらに強くなり、制裁を加えた西欧は疲弊している。いったい未曽有の制裁を受けたロシアではなく、制裁を加えた側が疲弊したこの現象をどう説明するのか。当然、説明のしようがない。この戦争は、当初から西欧(米・英)が邪悪な動機と目標を持って戦争を仕掛けたからだ。真実が明らかになれば、米・英や彼らに同調した西欧は、反文明の戦争集団との烙印が捺される。
米・英のいわゆる「集団西方」(EU)そのものが問題の多い体制だ。NATOは、東西冷戦が終わり存続の理由がないのに、「主権国家」を消滅させることで、単一政府で世界統治を妄想してきた全体主義帝国に奉仕する組織となった。
ウクライナ戦争は、人種的偏見や欲望からロシアの解体を追求した勢力が企図した戦争だ。ところが、西欧は自分たちより劣ると見たロシアや「主権国家」を見誤った。ゼレンスキーのキーウ側は、NATOの全面支援と関与にもかかわらず、武器が与えられても戦う兵力がないほど徹底的に破壊された。
実は、ロシアとウクライナに関する基礎的な資料を見れば、誰でも西欧の偽りにだまされることはない。ウクライナはソビエト連邦から独立、西欧と接触した30年間に、1000万人の国民が国を去り、人口が20%減った。ウクライナを犯罪国家、失敗国家にした責任は西欧にある。
プーチン大統領は、昨年末の会見で、ロシア人とウクライナ人は一つの民族だと強調した。ロシアに対する憎しみを煽る西欧とはあまりにも対照的だ。今の葛藤を招いたクーデターを主導した責任が米国にあると述べた。ロシアは、2014年のクーデター以降、ウクライナと正常な関係構築が不可能になったと述べた。プーチン大統領は、米国がウクライナ政府を転覆させるため50億ドルを支出した事実を公開的に認めたと指摘した。
プーチン大統領は、ワシントンは自身の目的のため葛藤を助長、また8年間にわたりドンバスで行われた虐殺がウクライナ戦争につながったと強調した。プーチン大統領は、西側が虐殺をしながら、ミンスク協定に露骨に違反し、ロシアを欺いてきたと話した。米国がすべてを計画、組織し西欧の指導者たちは知らないふりをしたと言った。
西欧は、プーチン大統領の発言が間違っていたら反論せねばならない。西欧(米・英)は、ロシアが戦争犯罪を行ったと宣伝しながら、ロシアが国連で調査を要求したら、拒否権を行使しこれを止めた。ロシアがドイツにガスを供給する海底パイプラインの爆破も、調査すれば直ちに究明できるのに、これを妨げたのは米・英だ。
結局、この戦争は、主権国家を抹殺し、ジョージ・オーウェルが書いた『1984年』のような体制で世界支配を追求する勢力と、これを拒否する主権国家間の戦争となった。西欧によるプロパガンダ・認知操作と、これを克服する戦争となった。
韓日にも影響、米国の認知操作
認知戦争の根は深い。独裁権力や暴圧に対する抵抗意志を抑制、除去する認知操作は、支配層にとっては最も効果的な統治方法だ。西欧の支配層は自国民にも認知操作を行ってきた。
操作と洗脳を中心とする西欧の認知操作戦争は、東西冷戦の際、勝利のため正当化された。
西欧はソ連邦の解体後、旧ユーゴスラビア連邦の解体に着手、世界の大多数の国々が対抗できない圧倒的なメディアパワーを動員して認知戦争を展開した。もちろん、西欧は厳格な検閲と情報制御で自らの認知戦争を徹底的に隠した。
西欧は、この認知戦争に依存し、西欧文明の長所と美徳を自ら否定、破壊することになる。結局、権力やその権力と癒着した巨大メディアに挑戦する新しいコミュニケーション手段によって、隠された操作と洗脳が暴露され始めた。
つまり、東西冷戦で共産全体主義が敗北しソ連邦とワルシャワ条約機構が消えるやいなや、自由民主主義体制を誇ってきた西欧の先進諸国が以前の敵だった共産全体主義体制が行ってきた情報統制、検閲、認知操作を始めたのだ。
西欧の権力エリート層の素顔が白日の下にさらされた。キッシンジャーやブレジンスキーが構築した体制は、米国の利益よりも政府と権力を掌握した巨大カルテルの利益に服務してきた。この貪欲な勢力には最小限の良心も恥もなかった。
恥を失った社会は、もはや文明社会としての尊敬と信頼を受けることはできない。われわれが西欧や、西欧が主張するスローガン規則基盤秩序にこれ以上追従してはならない理由だ。
この認知操作は、イスラエルも長い間、行ってきた。ハマスに虐殺されたとされる多くのイスラエル人の中には、イスラエル軍の発砲、攻撃による犠牲者も少なくないことがイスラエル媒体によって明らかになっても、イスラエルやその支持勢力は、すべての殺傷をハマスの行いと言い、ガザ地区へのジェノサイドを強行している。
米国の認知操作は、韓・日など同盟国の国際情勢に対する正確な把握を妨げる決定的障害となっている。
特に、米国メディアの報道をほぼ鵜呑みにし追従する韓国のメディアは、米国が意図する「認知操作」、洗脳の道具となっているという主張・指摘がこれまでも提起されてきた。このような主張と事例は、米国から出ている。
西欧の野蛮な偽りと偽善、捏造はインターネット空間などに残された膨大な情報、データによって露呈した。西欧の邪悪な認知操作が裏目に出ているのだ。
すでに、プロパガンダ戦争、認知操作戦争は、国家ではなく、個人の戦争となっている。自身が偽りと憎しみの犠牲にならないためには、この悪や偽りの戦いに個人として出なければならない。
私が認知操作の犠牲者になったら、私も周りの他人を犠牲者にするからだ。
「規則基盤秩序」や「グレート・リセット」の目論見に抵抗する勢力を抹殺する認知操作・プロパガンダとの戦争は、もはや国家の戦争であると同時に個人の戦争となった。
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