紅海を航海する欧米の船舶に対し、イエメンのフーシ派が攻撃を行った。これがグローバル貿易で力の均衡を変える地政学的な事態に発展している。ウクライナ戦争で制裁を受ける大陸国家のロシアが、伝統的な海洋勢力の西欧に代わって紅海や他の重要海上物流動脈、北極海航路で影響力を増していることを示す。
イエメンのフーシ派がイスラエルに向かう西側の船舶を標的にするや、アジアへ石油を輸送するロシアのタンカーの紅海航海が急増している。米国が航路保護を約束しても、西欧船舶はアフリカを経由する遠い経路を選択している。西側は重要貿易路への統制力を失い、さらに費用がかかり、西欧の産業が依存する精密に調整された供給網が危機に置かれた。
東南アジアのイスラム国のマレーシアもイスラエル船舶の寄港を禁止した。イスラエルがガザでの大量虐殺で世界から孤立するや、支援する米国の無気力ぶりも目立つ。米国は軍事介入を宣言、「繁栄の守護者作戦」とのスローガンで多国籍の海軍機動部隊の構成を発表したが、中東諸国はもちろん、伝統的な同盟国も米軍指揮体制の下への兵力派遣を拒否した。 |