民団の混乱が続いている。都内で開かれた「臨時中央大会」と称する集会で、独自の3機関長などが選出され、分裂状態に陥った。民団内の対立を理由に、韓国政府からの支援金打ち切りの話も出ているといわれる。韓日関係が改善しているなかで、両国の懸け橋となる役目を担うべき民団での内紛に、団員からは「分裂しては両方が共倒れになるだけ」と嘆く声が漏れている。
事実上の分裂状態に陥った原因となった「臨時中央大会」は2日に都内で開かれ、独自の3機関長などを選出した。しかし同大会招集請求の集計が終わる前に、規約に則らない集会開催を決めた独自勢力の行為は正当性に乏しい。来年2月には定期中央大会が開かれ、3機関長などが選出される。年末の忙しい時期に集会を開く合理的意義は見出し難い。
韓国国内からも懸念の声があがっている。「紛糾団体に国民の税金を(支援金として)投入する必要があるのか」という反感が湧き起こっているという。
この騒動に在日韓国大使館も動き出した。6日ごろに中央幹部と独自勢力側幹部が呼び出され、それぞれ事情を聴取された。そのとき紛糾団体となっていることを理由に、韓国政府から毎年支給されている年間8億円ともされる支援金の打ち切りをほのめかされたともいわれる。
のっぴきならない状況でようやく関与した大使館に対しては「対応が遅すぎる。事態が悪化する前に、もっと早く動いてもよかったのではないか」という批判が団員からあがっている。
事態収拾の道筋が見えないなか、団員の1人は「1971~75年ごろに民団が混乱していたころのようだ」と嘆く。反国家・反民団的行為で民団組織が紛糾したことにより、中央が東京を直轄化した。その後、中央が職権で事務所を接収したが、深夜に在日韓国青年同盟(韓青)、在日韓国学生同盟(韓学同)ら100人の暴徒が襲撃し、多数の負傷者を出した。また韓青、韓学同は中央本部にも乱入し、団長と事務次長が重傷を負った。
韓青、韓学同はいずれも朝鮮総連と連携しており、一連の混乱は北韓による対南工作の一環だったとも指摘されている。
時代が違うとはいえ、組織的動きによる長期にわたる紛糾ぶりは70年代の混乱時の様相を彷彿とさせる。
韓日関係が改善されつつあるなかでの民団の混乱ぶりは嘆かわしい。流血の事態という、韓日関係に水を差しかねない愚挙だけは避けなければならない。
10日には「暫定3機関長」が、各地方本部団長あてに正当性を主張する文書を送付した。それに対し中央は11日付けで「捏造であり分派活動だ」と非難する公文を発布した。
収拾が見えない事態に韓国高官も強い関心を持ち、有志による特別対策委員会設立の動きもある。韓国高官は独自勢力の一連の行動について「このようなことは認められない」と指弾している。
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