2023年も残すところ半月余りとなった。ウクライナ戦争(NATO・ロシア戦争)に終息の目処が立たないなか、イスラエル・パレスチナハマスの戦争が勃発、イスラエルを庇護する米国はさらに苦境に立たされている。韓国では、国会で巨大野党・共に民主党の暴走が止まらない。尹錫悦政権も迷走し、国家正常化への道のりは遠い。一方、韓日関係は、米国の後押しで改善が進み、政府、企業、民間での交流が活発化した。
尹政権下で韓日の雪解け進む
政府・企業・民間の交流活発に
文在寅政権下で戦後最悪とも言われた韓日関係だが、尹錫悦政権発足後、急速に改善に向かった。
今年は3月16・17日、東京で尹錫悦大統領と岸田文雄首相による首脳会談が行われた。また、相互往来(シャトル外交)を再開することでも合意。韓日首脳会談は今年だけで計7回開催された。
5月21日には、尹錫悦大統領と岸田文雄首相が広島の平和記念公園内の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を共同参拝した。韓日首脳が韓国人原爆犠牲者慰霊碑を共同参拝するのは初めてで、両国関係が改善したことを象徴するような出来事となった。尹大統領夫妻と岸田首相夫妻は同日午前7時35分頃、慰霊碑を訪れ、一列に並んで献花した。約10秒間黙祷し、韓国人原爆犠牲者を追悼した。
6月5日、在外同胞庁が発足した。世界中の韓国系同胞、つまり在外同胞への支援、国内外の同胞ネットワークの結束を強化するための政府組織が誕生したことになる。政策機能と事業遂行を併せ持つ同胞専門政府部署が誕生したのは韓国建国以来、初めての出来事だ。
韓日企業間の交流も活発化。トヨタがLGソリューションと電気自動車(EV)バッテリーの供給契約を結ぶなど新産業での協業も増えた。日本の経済団体連合会(日経連)と韓国の全国経済人連合会(全経連)をはじめとして、多くの両国経済団体間の交流が活発化した。
12月には韓日間の第3次2カ国間通貨スワップが締結された。
欧米とグルーバルサウスの対立が決定的に
NATOが形骸化の危機、国際秩序が激変
ウクライナ戦争で国際秩序のパラダイムは大きく変わった。NATOは当初の予想以上の軍事・経済支援を行ったため疲弊。一方、食糧、エネルギー、重要資源などを自給するロシアは、西欧の「制裁」にも経済が成長している。西欧が見縊ってきたBRICSやグローバルサウスの大半がロシア側に立ち、脱欧米に向かっている。判断を誤った米国・EUの方が苦境に陥り、分裂し始めている。
ハマスの奇襲で始まった、イスラエルとパレスチナ・ハマス戦争でも、米国とEUは、ハマスへの報復を誓うイスラエル支持を宣言。日本、豪州、台湾、韓国も歩調を合わせた。だが、グローバルサウスはもちろん、西欧の中からも、イスラエルの「ガザ・ジェノサイド」への激しい糾弾が起こり、全世界に拡散、米国は孤立に追い込まれている。韓国はウクライナ戦争でロシアと敵対、ロシアと北韓の軍事同盟化を招いた。
「南北軍事合意」破綻
米国なき安保の準備が必要
昨年9月制定した「核武力政策法」で核先制攻撃を明文化した平壤側は、今年に入ってさらに軍事力の強化を推進し、ミサイル実験を繰り返し行った。
韓国の金奎顕国情院長は9月4日、「北側は南侵攻時に短期決戦をせねばならないため、戦術核を使う」と国会で警告した。
北韓は11月21日、軍事偵察衛星「万里鏡1号」の打ち上げに成功した。ロシアの技術的支援があったと見られる。韓国政府は翌22日、「9・19南北軍事合意」の一部効力の停止を決め、航空偵察・監視を再開した。韓国の措置に反発した北韓側は、翌23日、同合意の全面破棄と、非武装地帯により強力な軍隊と新型の軍火器を配置すると宣言した。韓国と直接関係のないウクライナ戦争で、米国の要求に応じロシアに敵対した尹大統領の選択は、韓国の安保に大きな負担をもたらした。ロシアは、米・韓・日の軍事同盟化に対応、ソ連邦解体後破棄した北韓との軍事同盟を復活させようとしている。
不正選挙糾明など国家正常化放置
巨大野党による「立法内乱」
文在寅政権下で左翼全体主義独裁の道具となった司法府と国会などの正常化や不正選挙の糾明は、政権が代わっても実現しないまま、来年の総選挙に入ろうとしている。
国情院は10月10日、中央選管委のサーバーに対する合同点検結果を発表。投票と開票システムが共に外部ハッキングに無防備状態であると公開した。だが、憲法裁判所は10月26日、投票紙にQRコードを使用するのは違憲だとの判断を求める申請を棄却した。
大法院は国会議員選挙区の半分から提起された4・15総選挙の無効訴訟を審理もせずにすべて退けた。
共に民主党代表・李在明の背任などの逮捕同意案が9月21日、国会で可決されたが、左翼判事は、拘束令状を棄却した。
巨大野党・李在明党の立法権と予算権を悪用した暴挙は内乱レベルに達した。
尹大統領のセールス外交の成績表
広がるグローバルサウスとの距離
尹錫悦大統領は就任以来、自由や人権といった価値を共有する国々との連帯を外交の柱に掲げ、「自由陣営」との関係強化に力を入れた。また、「大韓民国の1号セールスマン」と自任、経済外交を展開した。
7月に行われた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席した際には、ポーランドなど東欧各国ともMOUを締結した。
また、9月のASEAN首脳会議の際にも東南アジア諸国と経済外交を展開し、10月の中東訪問でもセールス外交に力を入れ、サウジの未来都市ネオム計画を中心に200億ドル、61件のMOUを締結した。
だが、エキスポ誘致戦でのグローバルサウスの支持確保で完敗した。国際秩序が激変する時代に必要なのは、歴史の流れを把握することだ。
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