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2023年12月05日 12:30
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カギ握る北韓人権問題
政権次第で再び悪化の恐れも

 韓日間は今年に入って関係改善の動きが活発になっている。3月以降、尹錫悦大統領と岸田文雄首相は計7回の首脳会談を実施している。両首脳の決断と実行によって急速に進んだ韓日関係改善だが、危惧もある。

慰安婦で賠償命令

 旧日本軍の慰安婦被害者と遺族ら16人が日本政府を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決でソウル高裁は11月23日、日本政府に対して原告側に1人当たり2億ウォン(約2300万円)の支払いと訴訟費用の負担を命じた。日本政府はこうした訴訟に対応しないとの原則を崩さず、控訴もしなかったため、判決は確定した。
これに対し、松野博一官房長官は「国際法および日韓両国間の合意に反するものであり、極めて遺憾だ。韓国側が適切な措置を講じることを強く求めていく」と述べた。韓国外交部は「2015年の慰安婦合意を両国の公式合意として尊重している」と表明している。

低支持率の尹政権

 日本政府内部からは「歴史問題が絡むと頭が痛い」との嘆きが漏れている。韓国でも尹大統領と与党の支持率低迷が各種世論調査結果に表れている。
このままでは27年に予定されている次期大統領選挙での保守系大統領の当選と、来年4月に実施される国会議員選挙での与党の過半数獲得は、現時点では難しいと見込まれる。

従北勢力への懸念

 慰安婦訴訟の判決を受けて、支援していた「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」が韓日離反に向けて勢いづくことが懸念される。同団体は、北韓との親密な関係が指摘されている国会議員の尹美香氏が前理事長を務めた。日本国内でも朝鮮総連などとの連携による離反の企てが憂慮される。
今回の記念セミナーでは、祝祭ムードにあふれる一方で、北韓が絡んだ韓日分離工作への視点が不足していた。尹大統領と岸田首相の両トップの決断で韓日関係が改善されたことを踏まえれば、政権交代で一気に悪化する恐れもある。

腰を据えた議論を

 政権に左右されず韓日関係を安定的かつ良好に保つにはどうすればいいか。元産経新聞政治部編集委員でジャーナリストの佐伯浩明氏は「北朝鮮の自由と人権の回復がカギだ」と語る。「日韓関係は常に北朝鮮に翻弄されてきた。韓国では正義連のような従北勢力、日本では朝総連などがそれぞれ日韓離反の工作を仕掛けている」とし、これに対抗する手段として、「尹大統領には各メディアを通して、北朝鮮の世論工作の実態を広く発信してもらいたい。そうすることで慰安婦問題よりも、北朝鮮の抑圧体制からの解放が大事だという世論を韓国国民の間に育てることが必要だ。日本に対しては、慰安婦でも徴用工でも、事実をしっかり発信してほしい。そのうえで、両国が腰を据えて議論すればいい」と持論を述べている。

2023-12-06 4面
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