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2023年11月14日 12:19
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空売り禁止で株式市場が混乱
国際的潮流と逆光する政策に疑問

 韓国株式市場の値動きが不安定だ。原因は韓国金融委員会(FSC)が5日に打ち出した株式の空売り禁止。6日から2024年6月末まで国内上場株の空売りを全面禁止。これを受けて6日に株価は5・6%上昇した。だが、一転して7日は2・3%安、10日は0・97%安となるなど下降した。国際的な流れと逆行することで、投資家が離れるのではないかとの懸念も高まっている。

 空売りとは証券会社から株式を借りて売り建て、決済期日までに買い戻して株式を返却し、その差額で利益を得る取引。信用取引の一種で、株価が下落する局面においても利益を得ることができる。
FSCの金周顕委員長は記者会見で、「機関投資家と個人投資家の間にある『不公平な競争条件』を根本的に緩和することが措置の目的」と説明。「金融市場の不透明感が続く中、大手外資系投資銀行は慣行として不公平な取引を行っており、公正な取引規律を維持することは不可能と判断した」と述べた。
一方で、株価指数の下落を防ぐための措置と関係者は見ている。
今回の空売り全面禁止が韓国証券市場に対する投資家の信頼低下のきっかけになるという懸念が広がっている。金融市場は開かれたものでなくてはならない、という国際的な流れと逆の方向に進むことで、外国人投資家が離れ、株価がむしろ下落しかねないという声もあがっている。
空売りの一時的な禁止は、2008年のリーマン・ショック直後に米欧の当局が金融株を対象に実施するなど、他国でも前例がある。また世界的に経済が混乱したコロナ下には、空売りを禁止した国は少なからずあった。韓国でも20年3月16日から21年4月30日まで空売りを全面禁止したが、今は類似した事例を探すのが難しい。
また、空売り禁止に踏み切ったもう一つの理由として、政権与党による選挙対策との見方もある。空売りは外国人機関投資家が行う場合が多く、国内の個人投資家を保護するためにポピュリズム政策として空売り禁止に踏み切ったという見方だ。
禁止期間が、総選挙の2カ月後までというのも不思議だ。6月に市場活動を検証し、禁止措置を解除できるような大きな改善が見られるかどうかを判断するというが、はたして正常な検証が行われるのか。
空売り禁止を受けて総合株価指数(KOSPI)は6日に前営業日比5・6%高となったが、7日は一転、2・3%安となった。10日、韓国株は0・97%安、空売り禁止を受け1日として過去最大の上げ幅を記録した月曜日の上昇を相殺している。13日には2403・76の0・24%安で終了した。
韓国大手企業であるサムスン電子やSKハイニックスなどに対する評価は高く、大きく株価が下がることは想定しにくい。空売り禁止が直接、こういった企業の株価に影響を及ぼすとは考えにくいが、他企業のリスクは少なくない。相場の上値追いの思わぬ足かせになりそうだ。
また、株価上昇の鈍化を想定し、株を売り越す国内個人投資家が増えていることも懸念材料だ。今月に入り10日までに個人投資家はKOSPIとKOSDAQで2兆1510億ウォン相当の株式を売り越した。
今回の空売り規制は(1)市場参加者の市場造成目的(2)流動性供給者の流動性供給目的(3)派生市場造成者のヘッジ(リスク回避)目的(4)上場指数ファンド(ETF)流動性供給者のヘッジ目的などに対しては借入空売りを例外的に認めているが、金周顕委員長は「市場造成者に対する空売り禁止についても意見を聞いてみたい」と規制強化の可能性を明言している。

 

 

 

 

2023-11-15 2面
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