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2023年11月14日 10:06
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東アジア文字考~漢字を巡る遥かなる旅 第9回 水間一太朗
漢字を巡る大韓民国の葛藤

漢字を廃止するとどうなるのか

「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした」。これは、初期の日本語ワードプロセッサ(ワープロ)開発者が研究に使用した例文だ。正しく変換すれば「貴社の記者が汽車で帰社した」となる。このような例は日常生活で多発する。漢字廃止論者たちは、ついに日本語から漢字を廃止することができなかった。それにはこんな現実問題もあったのである。
漢字は中国が開発発展させたものではなく、言語の異なる周辺諸国が共通言語として採用したものであったことは既に述べた。朝鮮王朝の漢字の採用もこれと同じ理由だが、日本のように自在に漢字を充てたわけではない。日本の場合は音読みと訓読みがあり、音読みも、呉音、漢音、唐音の区別があり、訓読みには際限がない。ところがハングルの場合は、漢字を基にした漢字語が六割を占め、日本とは事情が異なる。一つの漢字の表音は基本的に一種類。そのため文章の全てをハングルだけで記載するには、かなりの困難と慣れが必要になる。そして多様な表現が著しく制限されることとなる。

韓国・北韓での漢字廃止の経緯

北韓では独立直後に漢字が全廃された。一九五三年に外国語教育として漢字が復活、普通教育用漢字として二千字、大学課程で追加して一千字を学ぶようになった。しかし、一党独裁のこの国では国に反対すると命取りになる。そのため、現在でも国内の出版物やメディアに漢字が記載されることは皆無である。
韓国でも独立直後の一九四八年、「ハングル専用に関する法律(ハングル専用法)」が制定されて漢字の廃止が決定した。決定内容は「公文書はハングルのみで記載するが、漢字はかっこに入れれば使用できる」というものであった。それでも言論界は日本統治時代から続く漢字交じりハングル文の使用を続けた。
これに業を煮やした韓国政府は一九七〇年、漢字全廃宣言を発表して普通教育での漢字教育を全廃した。知識人たちはデモ行進などを行って激しく反発、二年後の一九七二年にはこの宣言は撤回され、『漢文教育用基礎漢字』として約一八〇〇字が定められた。
ところが、韓国の官僚は実に巧妙に漢字全廃を進めていった。この『漢文教育用』という表現がミソであって、あくまで『漢文』の授業の延長だというのである。選択科目となった『漢文』は受験の必須科目ではなくなった。受験に必要のない『漢文』を学習するものはいなくなる。実にしたたかなやり方であった。
また、『漢文』が教育科目になるのは中学校からであって小学校では習わない。小学校教育の現場では『漢字全廃』は徹底的に進められた。これに異を唱えて漢字を教えた教師は懲戒免職になったほどである。
さらに、二〇〇〇年からの第七次教育課程では漢字教育は必須科目から完全に外された。ここに官僚の思惑であった漢字全廃は完成することになる。

在日の存在意義が高まる韓国

いわゆるハングル世代が多数を占めるようになった韓国では、漢字を撤廃することによって様々な問題が噴出している。その顕著な例は、漢字系海外メディアに発信する場合の誤訳だ。人名、固有名詞、記念日などの誤訳は後を絶たない。近年は機械翻訳をベースに発信するが、高性能AIも固有名詞は翻訳できない。どんなに進歩しても元の漢字が分からなければ無理なのだ。また、東アジアの共通言語であった過去の文献が読めなくなった。これでは歴史認識を東アジアで共有しようとすること自体が無理というものである。
韓国では漢字の復活が今でも頻繁に話題になる。しかし一度失った言語は簡単には戻らない。ここに在日の存在が際立つことになる。日本の在日社会には高度な漢字文化がしっかりと残されているからなのだ。     (つづく)

2・8独立宣言書に見るハングル漢字交じり文

2311-15-06 6面
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