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2023年11月07日 13:08
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古代史万華鏡クラブ~韓日古代史の謎を解く 講師:勝股優
任那日本府はあったのか 第5回船の輸送力

 4~5世紀の任那日本府成立説について、あれこれ検証してきた。そろそろ総括しようと思ったが、もう一つ検証しなければならない重要なことがあった。船の問題だ。古代の船で多くの兵士を韓半島にまで運ぶことができたかという疑問だ。

この話で思い出すのは1975年に出版社が行った実験航海だ。魏志倭人伝の航海を検証するため、古墳から出土した埴輪から推測した全長20メートルの準構造船(丸木舟と後の時代の船全体を板で繋いだ船との中間的な船)を作り帯方郡があった仁川から博多に至る航海であった。
仁川・釜山間は漁師10人が櫂(オール)で漕いだ。陸や島伝いの沿岸航路のため、時間はかかるが無事到着。釜山からオールになれた下関水産大学のカッター部員20人と交代し、14本にオールを増やし、万全を期した。
航海はいきなり、釜山から対馬への朝鮮海峡で洛東江から流れ出す水勢と潮流の関係による潮目に翻弄される。数時間の苦闘の末にようやく乗り切ったものの、今度は激しい潮流により漂流同然の憂き目に。この危機は監視船の曳航により脱したが、実験航海はその時点で失敗したわけだ。ちなみに博多到着は仁川出発の47日後であった。
この実験結果だけで古代の渡海は困難であったというつもりはない。現代人には容易でない航海であったことは間違いないが、大正や昭和初期には対馬の漁民は櫓一丁だけの小舟で釜山に渡っていたという。季節や潮流などの航海条件、航海技術、航海経験が整っていれば釜山=対馬間60キロメートルを渡海することは可能ということである。古代人にはこの知恵があった。
列島と朝鮮半島の交易を担ったのは福岡の志賀島に拠点があった安曇族(宗像氏もいた)。優れた操船術で小型船を操り、韓半島だけでなく山東半島辺りまで足をのばしていたらしい。
そんな海人集団がいたものの、造船技術は中国や韓半島に比べると遅れた。王権が大型船に目を向けたのはようやく6世紀半ば。欽明天皇が百済からの渡来人を船の司に任命し、船史の氏姓を授けた時からという説がある。これにより7世紀から始まった遣隋・遣唐使船が作られたようだ。

百済は江南の呉と密接な交流があったからV字型の船底の大型船を保有していたと思われるが、倭に伝わった百済の造船技術は古かった。遣唐使船は平底で、まるで箱やタライが海に浮かんでいるようなもので、荒波にもまれればたちまち壊れた。複数の船で船団を組んだが、船に従五位下といった官位を授け無事を祈った。一艘でも着けばいいという決死行であった。
653年の第二次遣唐使船では第二船が薩摩沖で遭難沈没、120人あまりの乗員のうちたった5人だけが一枚の板にすがって漂流し助かる…など難破の記録は枚挙に暇がない。半数の人が海の藻屑となったという。

はるか後の9世紀になっても同じような事態が続く。最澄の弟子で優れた中国紀行記を残した円仁の乗った船はボロボロの破船の形で到着。使節団は帰るに帰れず9叟の新羅人貿易商の船を傭船して帰国したと記録にある。優秀性が知られていた新羅船を使った帰国はたびたびあり、すべて安全に帰ることができた。200年以上たてば造船技術も進歩すると思うのだが、こんな有様であった。
続日本紀に761年、新羅遠征のため船394叟を建造、水夫1万7360人と兵士4万700人の動員計画があったことが記されている。一叟に水夫44人、兵士103人となり、ちょうど遣唐使船と同じサイズの大型船であるが、所詮大風呂敷で、実現することはなかった。
古代、白村江の戦いで木の葉のような倭水軍は壊滅。中世の秀吉の朝鮮進攻でも李舜臣にコテンパンにやられている。歴史的にみて倭(日本)は造船技術の遅れもあって海に弱かった。
話が8・9世紀、はたまた中世にも及んでしまったが、4~5世紀の船について歴史家の武光誠氏はこう分析している。
「古墳時代中期にあたる5世紀頃の遺跡から大型の丸木舟が何例か出土している。豪族は山の中で巨大な楠などを見つけ、それを海岸に運んで刳り船を作った。最大のもので30人ぐらいの人間を乗せてどうにか浮かぶ程度のものだった。しかし遠距離の航海には大量の水と食料を積むことが必要で、商品も積まなければならない。朝鮮半島と往来する船に乗れるのは10人くらいではなかったか」
この分析は兵士の遠征を想定していないから「商品」を「武器・武具」に当てはめて考えてもらいたい。とてもじゃないが何千人もの兵を韓半島に派遣して、4~5世紀に日本府なる植民地を作ることができたとは思えないのだがどうだろう…。

 

2311-08-06 6面
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