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2023年10月31日 13:03
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ソウルを東京に擬える 第24回 企業・ビジネス街 吉村剛史(文・写真)

 都市は人々の暮らしの場でもあり、働く場でもある。今回は中高層のビルが林立する両都市のビジネス街と、仕事を終えた人たちがアフターファイブを満喫する場所について触れてみたい。
日が暮れた頃に南山のケーブルカーから街を見下ろすと、ビルの窓から光が漏れ、夜の街にはネオンが煌々と輝く。東京では首都の中枢である千代田区や中央区に企業が多いように、ソウルでは鍾路区や中区にも多い。朝鮮時代に都城の開閉を知らせた鐘楼・普信閣のそばには地下鉄1号線の鍾閣駅があり、鍾路沿いにはSK、清渓川沿いにはハンファといった大手企業の本社が所在する。
鍾路タワーの向かいにある普信閣の裏手の繁華街こそが、ソウルの人々がいう鍾路の街である。ここには焼肉店やチェーンの飲食店が軒を連ね、夕方を過ぎたころから活気にあふれる。ある意味ではサラリーマンの街・新橋のような雰囲気で、鍾路にはSL広場こそないものの、町並みはそれとなく似ている。露店が並ぶ中央の通りが「青春の通り」と名付けられているためなのか、道を行く人々は若い働き手も多く、明洞に近いながらも外国人観光客の姿はあまり見当たらない。
ソウルの西側では麻浦や汝矣島がビジネス街だ。空港鉄道が2011年に開業した孔徳駅とその隣の麻浦駅にかけては近年、再開発が進められていた。麻浦大橋を渡った先は汝矣島であり、LG本社があるほか金融系企業が多い。ちなみに孔徳駅の地上の大通りにはビル街が続き、周辺にはホテルなどのほかコーヒーブランド”Maxim”で有名な東西食品、石油会社のSOILなどの本社がある。周辺には高層アパートが数多く、日本人居住者も比較的多いエリアだ。そんなビル街の合間には再開発が迫った孔徳市場がある。ここにはチヂミや豚足が味わえる横丁があり、夜になると居酒屋の雰囲気でにぎわう。
あえて例えるなら大井町駅近くにある東小路飲食店街に相当する。狭い路地に洋食店や町中華、大衆居酒屋がひしめき、お昼時からにぎわっている。そして麻浦駅近くにある豚カルビ通りもまた有名だ。
このあたりのオフィスビル街は品川や大崎にも近い雰囲気で、品川駅の東側には世界に名だたるソニーやニコン、日本サムスンの本社、韓国でもポカリスエットでおなじみの大塚製薬の社屋がここにある。ちなみに品川駅周辺の居酒屋の多くは雑居ビル内に店を構えている。大崎駅の東側は1980年代後半より複合商業ビルが中心のオフィス街だが、近年は西側の再開発が著しく、駅とデッキで直結する形で高層ビルが増えている。
また漢江の南側にも企業が多いが、江南駅の交差点そばにはサムスン電子のビルがそびえる。そこから三成駅にかけてのテヘラン路には金融系企業が目立ち、かつてはIT企業が多くテヘランバレーとも呼ばれていたが、その多くはデジタル団地や郊外へ移転した。東京では渋谷にGoogleの日本法人があるほか、ITベンチャー企業が多く、近年は五反田にも増えているという。 江南駅周辺は路地に入ると飲食店が密集しているが、渋谷にはJR線路沿いに”のんべい横丁”といった風情ある路地もある。またMIYASHITA PARKにある商業施設1階の渋谷横丁は屋外で飲むこともでき、若い世代を中心に人気が高い。
また江南区はオフィステルの数が最も多いというが、これはオフィス+ホテルの造語である。日本でいうならワンルームマンションを事務所にしたようなもので、主に小規模の会社が入居する。もちろんビジネス街には大手や中小問わず、多くの人が通勤する。
ソウルに出かけるときにはオフィス街を訪れ、現地の勤労者と飲食をともにすれば、より生のソウルを感じられるはずだ。

貫鉄洞

新橋

2311-01-06 6面
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