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2023年09月05日 10:09
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ドラマと文学で探る韓国9 若者は日本統治時代をどうみるか①
ドラマ『九尾狐伝1938』×小説『金講師とT教授』

 8月は「8・15特集」の関係で、この連載をお休みした。毎年8月15日は日本では終戦記念日だが、韓国では日本統治から解放された日「光復節」と呼ばれる。光復とは、日本統治(暗黒)から、主権(光)を取り戻す(復)ということを意味する。
ところが韓国の調査会社が行ったアンケートによると、20代の4人に1人が光復節の意味をよく知らないという。義務教育から大学まで、韓日の歴史を繰り返し学ぶはずの韓国で、知らないというのは単純に不勉強からくるものだろうか。あるいは無関心によるのだろうか。光復から78年、日本統治や戦争について知る世代が身近におらず、本で習っただけの歴史は実感を伴わないのかもしれない。そこで今回は、日本統治時代を描いたドラマと文学を取り上げてみたいと思う。

日本統治時代を扱ったドラマといえば、古くは名作として名高い『黎明の瞳』(1991)が思い浮かぶ。金聖鐘(キム・ソンジョン)の原作小説を『砂時計』(95)のキム・ジョンハク監督と脚本家ソン・ジナがドラマ化、最高視聴率58・4%を弾き出した大ヒット作だ。スケールの大きさや俳優陣の熱演により、韓国ドラマのクオリティーを一気に押し上げたといわれる。新しいところではユ・アインが主演した『シカゴタイプライター~時を越えてきみを想う~』、イ・ビョンホン主演の『ミスターサンシャイン』があるが、今回は今年5月に放送されたばかりの活劇ファンタジー『九尾狐伝1938』を取り上げたい。
本作で描かれる時代はタイトルからもわかるように1938年。舞台は京城(ソウル)だ。20年に放送された『九尾狐〈クミホ〉伝~不滅の愛~』のシーズン2だが、ファンタジックロマンスの前作とは異なり、本作の魅力は日本統治下の時代を背景に描かれる大活劇だ。テイストがかなり違うので、本作単体での視聴もまったく問題はない。本作の特徴のひとつは主人公をはじめ、悪役の日本人など、登場人物がことごとく妖怪であること。そのせいか、日本統治を描いていながら、架空の世界に紛れ込んだような錯覚を覚えることもしばしばだ。ハズレなしといわれる制作会社、スタジオドラゴンの作品ということで、当然期待感も高かったはずで、その描き方はある意味予想を覆すものになったといえる。

一方の文学だが、今回は作家・兪鎮午(ユ・ジノ)が35年に発表した『金講師とT教授』を選んでみた。ドイツ語講師として赴任した官立専門学校に、朝鮮人は金万弼(キム・マンピル)ただ一人である。初日からそのことをいや応なしに思い知らされ、金講師は身の置き所がない。親切そうな笑顔で近づいてくる日本人のT教授を、軽蔑したかと思えば親しみを覚えたりと、気持ちは定まらない。講義が始まっても、彼以外の教官からは依然として無視され続けている。だが、学生からは思いのほか悪くない評判を得ることになる。問題児だから気を付けるように、と釘を刺されていた連中からも慕われ、悪い気はしないのだが、それはやがて彼の首を絞めることになっていく……。

それでは次回、ドラマと文学の登場人物を比較しながら、日本統治下の朝鮮に生きる、日本人、朝鮮人双方の葛藤をあぶり出していこう。

 

青嶋昌子 ライター、翻訳家。著書に『永遠の春のワルツ』(TOKIMEKIパブリッシング)、翻訳書に『師任堂のすべて』(キネマ旬報社)ほか。

2023-09-06 6面
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