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2023年09月05日 09:51
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災害時に問われる冷静な判断
デマによる朝鮮人殺害 教訓汲み取る機会に

 死者・行方不明者10万5000人超の犠牲を出した関東大震災から、今月1日で100年となった。未曾有の大災害の発災直後から、「不逞朝鮮人が放火して回っている」「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」という真偽不明の流言飛語が飛び交い、自警団によって多くの朝鮮人が殺害された。その後も、阪神淡路大震災や東日本大震災などの大災害時にも、デマが横行し人々を混乱させている。

 内閣府の報告書によると、関東大震災時の殺傷による朝鮮人の被害者は正確な数はつかめないが、震災による死者の数パーセントにあたるとしている。

発生直後から流言

 デマは行政をも混乱させた。発災翌日には、内務省が関東近県に対し「各町村は在郷軍人や消防団と協力し、有事の場合は適当な方策を」と指示を出し、自警団の結成が促された。
3日発行の東京日日新聞では、「鮮人いたる所めつたぎりを働く」「日本人男女十数名をころす」といった見出しのショッキングな記事が紙面を飾った。権威ある日刊紙の報道は、人々に事実だと信じ込ませ、恐怖に陥れるのに十分だった。以降、関東各地の自警団が、朝鮮半島出身とみられる人を殴打し殺害した。
一方、捜査によって事実無根であることが分かったことから当局は、5日には朝鮮人関連の新聞記事の差し止めを命じた。警視庁は『注意 有りもせぬ事を言い触らすと、処罰されます。朝鮮人の狂暴や、大地震が再来する、囚人が脱獄したなぞと言い伝えて処罰されたものは多数あります。時節柄皆様注意して下さい 警視庁』と記載したビラを作成した。
真偽不明の噂が広がった背景について内閣府がまとめた報告書は「日本が支配していた朝鮮半島で抵抗運動に直面し、恐怖感を抱いていたことや、無理解と民族的な差別意識もあったと考えられる」としている。

日本人の犠牲者も

 日本人も犠牲になった。言葉になまりのある地方出身者や聴覚障害者が朝鮮人だと誤認され、殺される事案も発生した。1日から公開されている映画「福田村事件」は千葉県福田村(現野田市)で発生した、香川県からの行商人15人が朝鮮人だと疑われ、地元自警団によって9人が殺された事件に基づいて制作された。
災害時はさまざまなデマが横行する。それらの真偽を見分けるのは容易なことではない。

職責全うした人々

 一方で100年前に冷静な判断で、治安を守る職責を全うした人々もいる。
神奈川県鶴見町(現・横浜市鶴見区)の神奈川警察署鶴見分署の大川常吉署長は、庁舎内に朝鮮人約300人を保護した。しかし周囲を1000人以上の群衆が取り囲み、「追い出せ」「たたき出せ」と騒ぎ立てた。説得に応じない群衆に大川署長は「この大川を片付けてからにせよ」と身を呈して朝鮮人の安全を守り抜いた。
ほかにも、毒が投げ込まれたという井戸の水を警視庁早稲田署の署長が飲み干して、流言を信じないよう自警団を諭した事例もある。川崎署の巡査は殺気立った数百人の群衆に囲まれる中、抜刀しながら朝鮮人10人を署内に誘導し、保護した記録がある。
公務員としての職務を果たした行為であり、単純な美談とは言えないかもしれないが、真偽が分からない情報が錯綜した状況で、冷静に対処した当時の人々の行為は賞賛してもいいだろう。実際、大川署長には翌年、朝鮮人から感謝状が贈られている。

非常時への認識を

 ラジオ放送さえ始まっていない時代、被災を逃れて発行された新聞以外は、口コミしかなかった。パニック状態にあるなか、個人が真偽を確かめるすべはないに等しい。現在、SNSなどメディアの発達ぶりは目を見張るばかりだが、だからこそ流言が伝播するスピードも比較にならない。
2011年の東日本大震災では、発生直後に「外国人による犯罪が横行している」とのデマを信じた人が8割以上いたことが、東北学院大学の郭基煥教授の調査で明らかになった。情報源については、口コミ68%で、インターネットが42・9%だった。
宮城県警や地元メディアは直後から、「被災地で性犯罪や外国人による略奪行為が多発している、といったデマが横行している」と注意喚起した。郭教授によると、避難所などで外国人との間で大きなトラブルは起こらなかったといい、「非常時には外国人に対するデマが広がりやすいと認識する必要がある」としている。 大災害発生時の真偽不明の情報にどう対処すればいいのか。テロ対策・危機管理を専門とする元日本大学准教授でソウル在住の国際法学者、金恵京氏は「甚大な災害や戦争の最中では予想外のことが頻発し、本来は小さかった不安や怒り、偏見などが異常なほどに拡大しやすい。平時において『小さな暴走の芽』を摘んでおくことが重要。不確かな情報に対する識別能力や差別を遠ざける意識、これらを普段から高めることが、非常時の適切な判断へ繋がっていく」とコメントしている。
関東大震災から100年後の私たちは、当時の大川署長らのような冷静な対応ができるだろうか。一人一人の見識が問われている。

2023-09-06 4面
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