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2023年08月15日 11:37
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韓国経済75年 経済成長の軌跡と未来

 資本と資源がない貧困国だった韓国は、過去に類をみない高度経済成長を実現し世界で存在感を発揮する経済大国となった。その道のりは順風満帆に思うが、通貨危機などいくつもの困難を乗りこえてきた。2017年にはGNI(1人当たりの国民所得)が3万ドルを突破し、先進国の仲間入りを果たした。一方で、米中対立やウクライナ戦争から輸出が停滞。少子化などの問題も抱えており、韓国経済はピークアウトしたのではとの声も聞かれる。75年間の韓国経済を振り返りながら、今後の課題を探る。

韓国経済の歩み

 第二次世界大戦後、韓国は最貧困国の一つであった。南北分断、内戦によるインフラの破壊などから資本と資源がほとんどない状態で、1950年代の韓国の総輸出は年間3500万ドル程度、国民所得は一人当たりわずか50~60ドルにすぎなかった。
李承晩政権下で、米国や国連機関の援助を受け、およそ4年後には戦前の経済水準まで戻した後、長期経済開発計画を策定。人材育成やインフラおよび社会間接資本基盤を構築し始めた。李大統領は電気、石炭、ガラス、セメント、紡績、鉄道路線の新設など、様々な産業の礎を作ったといえる。また、この時期にすでに原子力に関心を向けている。外貨が不足していた時代に、米英に200人の留学生を派遣し、70万ドルの研究用原子炉を導入した。
61年に誕生した朴正熙政権は5カ年ごとの計画経済を実施し、大きな発展を遂げる。輸出志向型の工業化を推進し、固定為替制度から変動為替制度に転換するなど、輸出拡充のための環境を作った。ベトナム戦争参戦や西ドイツへの出稼ぎなどで外貨も獲得。国内の豊富な労働力を活用しながら、海外からの資本調達を得て高度成長へと導いた。政府から定期的に長期開発計画が提示され、これをベースに財閥を中心とする企業側は事業計画を立てて設備投資を敢行した。官民一体となった韓国の成長モデルは、経済の2桁成長を実現させ、「漢江の奇跡」を成し遂げたのである。
全斗煥政権時代には科学技術の発展に力が注がれ、技術輸入も積極的に行われた。また、このころから経済の自由化政策が採用され始める。銀行の民営化、新規参入の自由化などが実施された。
80年代後半には大幅な賃上げを実現。それに伴い個人の消費意欲が高まり、本格的な大衆消費時代となる。また88年にソウル五輪を開催したことが、先進国の仲間入りを果たすきっかけとなった。90年代には海外投資が活発化した。世界的にIT産業が開花した時期でもあり、韓国でも科学技術政策が強化された。また、現在の韓国経済をけん引する半導体産業へ本格進出しはじめたのも、この時期だ。96年12月には、先進国で構成された経済協力開発機構(OECD)に世界で29番目に加盟した。成長著しかった韓国経済に打撃を与えたのがアジア通貨危機である。97年末にはウォンが暴落し、IMFの管理下に置かれることになった。その後、下落したウォンを追い風に輸出を拡大させ、危機を乗り越えたのである。2000年代に入り、韓国経済のグローバル化が急速に進む。08年のリーマンショック後、不振に陥った先進国への輸出に代わり、中国との貿易比率が拡大していった。中国の急速な経済発展が、韓国経済にとって成長のけん引車となった。

韓日関係

 戦後の日本と韓国、両国間の経済関係は、世界的に見ても最も成功した一つと言える。国交が回復した1965年以降、韓国の対日輸出と対日技術導入、日本の対韓投資のいずれもが飛躍的に増加した。当時は発展途上国と先進国の関係であったが、日本との経済交流が活発化したのと同時に、韓国経済は高度成長の波に乗った。韓国は日本の工業拠点として好条件を備えており、直接投資についても、出資比率にそれほど拘わらず、韓国人の経営参加を容易にした。これにより経営のノウハウを学ぶことができ、日本が韓国にモデルを提供したとも言える。日本側は韓国に工場を置くことで生産コストを大幅に削減できた。
その後、日本が機械や原材料、部品を輸出し、韓国がそれを組立・加工して米国などの第三国に輸出するという両国の垂直分業制度が確立した(このスキームは半導体産業などに代表されるように現在も続いている)。半面、自動車、造船、家電などの製造ノウハウを得た韓国と日本は海外での競合が激しくなり、現在は半導体、家電で日本を追い抜き、世界的な自動車販売でも日本に迫っている。
韓国経済の発展に日本が寄与した面は大きいが、日本市場の閉鎖性のために韓国は対日貿易赤字に苦しんだことも事実だ。この関係性は現在も継続している。2010年には361億ドルの対日赤字を記録した。
1990年代に入ると、中国の台頭などで、対中貿易黒字を背景とした貿易構造の変化により、対日輸入依存度は低下したが、現在でも日本は電子部品や非メモリ半導体、半導体製造装置などの輸入先として重要な役割を担っている。日本と韓国は産業構造の類似性から競合関係が注目されがちであるものの、水平分業への移行で協調関係が成立している。

国民所得

 GNIは、一人の国民が国内外で稼いだ所得の合計を指す。国内で生産した商品やサービス価値を基準とする一人当たり国内総生産(GDP)よりも、国民の生活水準を把握するのに適していると言われる。
GNIが3万ドルを超えると先進国入りを達成したと言われている。
韓国戦争が休戦した1953年の一人当たりのGDPは66ドル。その後、「漢江の奇跡」などの高度経済成長を経て、95年に初めて1万ドルを突破した。そして11年後の2006年には2万ドルを超えた。初めて3万ドル台となったのは、これも11年後の17年。18年に3万3000ドルを超えたが、19年から本格化した米中貿易紛争による輸出の不振や、20年のコロナパンデミックなどの余波で停滞し、3万ドル前半にとどまった。21年にはパンデミックが沈静化し、経済が回復傾向を見せた。為替レートもウォン高傾向を見せたため3万5000ドル(3万5373ドル)を突破し、日本を抜いた。
尹〓悦政権は任期末(27年)までに4万ドル達成を目標に掲げている。
一方、22年のGNI暫定値は3万2661ドルで、前年比7・7%減と09年(10・4%減)以来、13年ぶりの減少幅を記録し、20年ぶりに台湾に逆転を許した。
今後、成長率・物価上昇率がともに2%前後で推移し、為替レートも1ドル当たり1145ウォンレベルを維持すれば、27年時でGNIの4万ドル達成も可能だと見られている。
ただ、近年の韓国経済の成長エンジンであった輸出主力品目である半導体の不振、対中貿易の縮小のほか、ウクライナ戦争による国際原油価格・原材料の高騰などで貿易環境が悪化しており、時間がかかるとの見方もある。

尹政権の経済政策

 韓国は現在、世界でも最先端の技術を有する国となった。半導体産業を筆頭に、EVバッテリー産業、宇宙・兵器産業、原子力産業などの技術レベルは高く、世界的にも高い評価を受けている。尹錫悦政権はこうした未来産業への投資を強化している。
半導体に関して尹大統領は「国家先端産業の育成戦略」と「国家先端産業ベルトの建設計画」を打ち出した。京畿道龍仁に世界最大規模となる「先端非メモリー半導体クラスター」を建設。サムスン電子が主体となり300兆ウォンを投じる。世界的にも前例のない大規模半導体集積団地になる。
今年5月、独自開発した国産ロケット「ヌリ号」が人工衛星を宇宙に運ぶ「初めての実用レベルの衛星打ち上げ」に成功した。これで韓国は自力で衛星を打ち上げた7番目の国になった。尹大統領は韓国を「宇宙経済強国」とする計画を発表しており、科学技術情報通信省傘下にNASAの韓国版に当たる「宇宙航空庁」を年内に発足させる。
尹政権は前政権の脱原発政策を転換し、原発活用を拡大する。新ハヌル原発1号機の運用開始を機に、韓国原発産業の再飛躍に向け体制構築と競争力強化に注力する。同原子炉は韓国が独自技術で開発した次世代型「APR1400」を採用している。前政権で建設が白紙に戻された新ハヌル原発3、4号機の2024年着工を目標に、建設再開を推進。エネルギー関連の輸出は、21年の286億ドルから30年に2倍、35年に3倍に引き上げる計画。
電気自動車(EV)バッテリーについても政府と電池メーカーが30年までに共同で20兆ウォンを投資し、固体電池を含む先端電池技術を開発する。現在、世界のEV電池大手5社のうち、LGエナジーソリューション、サムスンSDI、SKオンの3社が韓国企業で、世界のEV用電池市場で合わせて4分の1以上のシェアを占めている。

世界情勢の変化と韓国経済の課題

 ロシアによるウクライナ侵攻を契機にさまざまなものの価格が上昇し、生活に大きな影響を与えている。原油・電気・天然ガスの価格が高騰、小麦・トウモロコシなどの穀物価格も同様で、途上国を中心に食糧危機をもたらした。戦争を境に世界は根本的に変わってしまった。対立が深まり、貿易コストが増大。さらに欧米とBRICS、グローバルサウスの立場の違いが鮮明になり、世界秩序が変化を迎えているともいえる。BRICS、グローバルサウスでは脱ドルの動きも見られ、世界の金融市場の構造も変わるのではとの見方もある。
こういった背景のなか、韓国は低成長時代に突入しつつある。韓国銀行(中央銀行)が7月12日に発表した2022年の各国名目国内総生産(ドルベース)によると、韓国の昨年のGDPは前年比7・9%減の1兆6733億ドル、世界13位で前年の10位から後退した。ランクが下がった要因は、対ドルでウォン安となり、ドルベースでのGDPが減少したことが大きい。半導体などの主要品目の輸出が減ったことも要因だ。また、輸出のなかで大きなウエイトを占めてきた対中貿易の黒字が縮小したことの影響も大きかった。
国内の課題をみると少子高齢化による労働力の不足、先進国のなかでもっとも大きい民間の債務問題が影を落としている。
また文在寅政権下で推進された「所得主導型経済成長政策」による負の遺産も足かせになっている。ポピュリズムによる民間へのばらまき政策から国の財政は悪化、借金漬けとなった。今後、大きく人口が減少すると予想されている若年層がそのツケを払うことになる。
来年の総選挙に向けて現在、与野党が激しく争っているが、野党が勝利した場合、現政権が掲げる経済政策を推進するのはさらに難しくなるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023-08-15 8面
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