日本で韓国語学習者が最近とくに増加している理由は、コロナ明けや政府間の関係改善によるものだけではない。コンテンツとして進化を遂げた「韓流」の流行により、若者がファン活動の一環で韓国語学習に向かっているだけでもない。今回は、「韓流」と同じ２０年の韓国語学習経験を持つ、作家の八田靖史さんと五十嵐孔一・東京外国語大学教授を取材し、韓国語学習の魅力と利点など、現場の声を中心に探った。

〝韓流〟を動機に試験で腕試し

　日本の政府観光局（ＪＮＴО）が１９日に発表した資料によると、２０２３年１～６月（上半期）累計の訪日観光客１０７１万２０００人のうち、韓国が３１２万８５００人で最多を記録した。
コロナ明けと重なった日本製アニメ映画のヒットや両国の首脳間で再開したシャトル外交など、訪日韓国人旅行者が増加した理由は複層的である。
日本では『冬のソナタ』のヒット以来、２０年という支持の期間を重ねてきた点が重要だ。母親の隣で韓流ドラマを見て育った子どもが成長し大学に入ったら、第２外国語選択の際に韓国語を候補に上げることは自然な流れだろう。

■「韓流」から韓国語学習へ

日本人が実際に韓国語を学習すると、「語順や助詞の使い方が似ている」「意味の共通する漢字語や外来語が多い」点にすぐ気付くことができる。
八田さんは「学習しながら共感を得やすい点がよいとっかかりになる」と話した。
五十嵐教授は、「似ているがゆえに簡単とは言えない」点を、補足するかたちで説明した。「話す」「聞く」「書く」「読む」に「やりとり（Ｉｎｔｅｒａｃｔｉｏｎ）」を加えた外国語学習の「５技能」と、語や文を構成する「文法的要素」が車の両輪に該当し、軸となる部分が「動機」に当たると構造的に分析している。韓国語学習のための動機づけという点で「韓流」が果たす役割が大きいと指摘した。
ＫＰＯＰやドラマなどの「韓流」が学習の利点になっているとする点は、八田さんも同様だ。
「特定の俳優やアーティストのファンであれば、本人の言葉を聞きたい・ファンイベントで直接会話をしたい・韓国語でメッセージを送りたいなど、学習を進めるうえでのモチベーションの向上につながっている」とした。

■学習意欲増進の背景

五十嵐教授は授業の課題として、誰とでも構わないので韓国語を母語とする２人と会話をした記録を提出するよう例年求めているという（コロナ中は実施せず）。
「母語話者の人に韓国語で伝えると喜んでくれる、触れ合うところから、生きた言語を学習する喜びを感じて欲しい」とし、「一歩前へ、その背中を押すのが教員としての自分の役目」と語った。
「韓流」以降、韓国語を学ぶ人が増えた背景の一つとして、親世代から子ども世代へと引き継がれたこの２０年間という変化の推移を、五十嵐教授は最近とくに実感しているという。
「子どものときから観ていた、母親の好きな韓国ドラマを自分も理解できるようになりたい、自分が韓国語を話せるようになって、お母さんと一緒に韓国旅行をしたい」最近の若い学生たちから実際に届いたという声を聞かせてくれた。

■環境の整備が大きく影響

ハングル能力検定協会の理事もしている八田さんは、「自分の学習成果を試験を通じて段階的に確認できる点は大きい」と、「ハン検」や「ＴＯＰＩＫ」などの語学試験の充実を韓国語学習の利点として挙げている。
「ハン検」では今年から、入門者向けのオンライン試験が始まり、２３日に第２回が実施されたばかりという。
八田さんは「オンラインでの受験は、会場が遠方にある学習者も参加しやすく、気軽に実力の確認ができるメリットがある」と話した。
日本人の韓国語学習が他言語に比べて有利な点は、隣国としての文化的伝統の類似や最近のコンテンツ進化に求められるだけでなく、「韓流」文化が日本に広まって以降、すでに２０年が経っているという背景に注目して理解する必要があるだろう。