２０日、バフムトがロシア側に陥落した。バフムト攻防戦は、ＮＡＴＯ（米国）の代理戦であるウクライナ戦争の重大な変曲点とみなされてきた。２２４日間のバフムト戦闘は、ロシアが「特殊軍事作戦」の目的として掲げたウクライナの「非ナチ化と非軍事化」の象徴となり、ウクライナはバフムトで貴重な戦力を消耗した。ウクライナ戦争への支援と、持続を確認するのが主な目標の一つだったＧ７首脳会議中にバフムトが陥落したのは象徴的だ。広島にはＧ７の首脳よりも多くのグローバルサウスを含む８カ国の首脳とゼレンスキー大統領が招待された。Ｇ７がロシアとの戦争持続を確認してもロシアに対する西欧の経済封鎖はもちろん、軍事的にもすでにＮＡＴＯがロシアを敗退させるのが不可能なのは明確だ。何よりグローバルサウスは西欧が求めるロシア糾弾、制裁に冷淡だ。

　ウクライナ戦争はパンデミックで疲弊化した世界経済が回復に向かおうとしたときに起きた。西欧は、ロシアがウクライナを侵略したと宣伝するが、この戦争は過去３０年間続いたＮＡＴＯの暴走の結果で、人種的偏見をもとにロシアの破壊を追求してきたグローバリスト勢力が企画した戦争であることは既に隠せない真実だ。
要するに、ウクライナ戦争は米国の戦争、グローバリスト勢力の戦争だ。ＮＡＴＯはロシアとの戦争に備え、２０１４年から８年間、ウクライナ軍を東ヨーロッパで最大規模の強力な軍隊へと訓練してきた。バフムトはその中でも最も要塞化した拠点だ。
ＮＡＴＯとＥＵは、ロシアを経済制裁で簡単に破壊、屈服させられると勘違いした。だが、西欧は結果的に自分自身と世界経済を破壊に追いやった。
西欧はＮＡＴＯ軍の情報インフラと武器提供はもちろん、民間媒体まで総動員しプロパガンダを展開、ロシアが苦戦していると宣伝してきた。だが、グローバルサウスは騙されず、西欧社会も自らの宣伝が誇張で偽りであることが分かり、戦争持続への疲労感・反感が限界に達している。
米国の軍事態勢が誇張されてきたのは明確だ。米国はすでに大規模の遠征地上作戦など遂行できない。ＮＡＴＯ諸国は軍備拡張を急ぐが、ロシアと中国への対応態勢を整えるのには多くの時間がかかる。同盟国に売ってきた米製武器は性能を発揮できなかった。米国が主要な同盟に提供、配備してきた弾道弾迎撃ミサイルのＰＡＣ３は、ロシアの国超音速ミサイル攻撃に無力なことが露呈した。
米・英など西欧は失墜された威信を回復するための局面転換を急いでいる。だが、食糧とエネルギーと資源を自給できるロシアを、イタリアよりも弱い経済力を持った国家とみくびった自ら犯した途方もない錯覚を反省していない。
人種的偏見にとらわれてロシアの抹殺を追求することで、ロシアが中国と組まざるを得なくした自分たちの致命的な戦略的ミスも糊塗している。Ｇ７は依然としてロシアを「自由陣営の敵」と強弁している。
バフムトが陥落した日に発表された広島Ｇ７首脳会議の共同声明は、見苦しい。西欧は、ロシアと中国を接近するようにした彼らの失策を後悔し、腹いせの対象と挽回策を求める焦りが感じられる。キエフを代理人とした戦争の継続を表明、中国を非難した。米・英は西欧の失策を逃さず突いてくる中国の外交攻勢に慌てている。米・英は、戦争持続のためロシアが核戦争を準備中だと宣伝する。だがバイデン政権と英国、ＥＵ執行部がいくら戦争の持続を望んでも、ＥＵ諸国は現実的にロシアと中国をこれ以上、敵視できない。自国の利益ばかり優先する米国の要求について行けないというのが現状だ。アングロサクソンやポーランドなど、ロシアを敵視する国々と、他のヨーロッパ諸国の立場の差は明確だ。
未だ東西冷戦で勝利したという傲慢と勘違いから目が覚めなかったＧ７と西欧は、グローバルサウスに対して自分たちを支持するよう要求するが、西欧の立場を支持するグローバルサウスはいない。西欧はロシアを全体主義独裁と罵倒するが、経済発展を望むグローバルサウスには全く無意味な扇動だ。経済を今のように混乱させ難しくしたのは西欧だと考えているのだ。
西欧が強要するＬＧＢＴＱなどの価値体系と「規範に立脚した秩序」というスローガン、国際秩序などにこれ以上、束縛されたくないのが現実だ。「力による現状変更に反対」というスローガンも拒否感を招く。力による現状変更を追求してきたのは、米国やＮＡＴＯも同じだからだ。新世界秩序という美名のもと、公然と世界支配を追求するＷＥＦなどが巨大な戦争を企画していることこそが、主権国家や自由市民たちの最大の敵だ。