ログイン 新規登録
最終更新日: 2024-04-23 12:41:29
Untitled Document
ホーム > ニュース > 社会
2023年05月16日 10:42
文字サイズ 記事をメールする 印刷 ニューススクラップ
 
 
私が出会った在日一世~済州4・3事件を日本語で語る金石範囲③ 安部桂司
民主主義を否定し金日成を支持する結果に

 言論、表現への暴力を許さないことは、民主主義社会の基本であろう。徐彩源社主や金達寿一行の訪韓は民主主義社会の日本から、韓国軍事政権への陳情が表向きの理由であった。それは政治犯の拘束、軍事政権に反対する人々の扱いに対して、言論、表現への暴力は許されないという民主主義社会の日本からの声を届けたということでもあった。
当時の韓国は、開発独裁まっしぐらの経済成長を遂げていた。その開発独裁路線は社会に「ひずみ」を招き、その「ひずみ」が開発独裁に反対する人々を生み出していた。そのような状況を見て取った北朝鮮は、韓国の社会不満を掻き立て、人々の不安を助長するよう働きかけた。これらの北の動きに軍事政権は敏感に反応した。

もともと国際共産主義運動(コミンフォルム)は、資本主義諸国の対立の芽を見付け、対立から憎悪をあおることが運動の基本だ。敗戦後の日本社会においても、コミンフォルムは人々の対立や憎悪をあおり、拡散させて大きな傷を作った。資本主義社会を選択した38度線以南の韓国に対しても、コミンフォルムは容赦なく対立の芽を見付け出し、その芽を育てる運動を繰り広げることで、社会への影響を拡大していった。
徐彩源社主や金達寿一行が訪韓した1981年の日本は、日共の武装闘争から60年安保、70年安保という外勢の介入を乗り切った民主主義社会であった。
現代社会で開発独裁が容認されるのは、民主主義社会への移行を図る場合である。民主主義を基底とした資本主義社会が世界の潮流であり、同じ軍事独裁政権でも社会主義を標榜する政権は権威主義に傾き、民主主義を否定する。権威主義体制は、権威に抗する言葉に対し暴力に訴えていく。この暴力に訴える発想自体が誤りであり、いかなる同情や弁明も民主主義と相容れるものではない。

「言論の自由を守り抜く」とはいかなることか、『朝日新聞』紙は「社説」で以下のように述べている。
「主張が通らないなら、直接暴力で世の中を変えてもいい。そんな短絡した考えが、凶行に連鎖して社会に広がることを危惧する。個々の事件の動機には不確かな点もある。だが、暴力に訴える発想自体が誤りであり、いかなる擁護にも値しない。民主主義は様々な考えがあって成り立つ。主張が異なっても、話し合うことが大原則だ」
ここで5月2日付の『朝日新聞』紙の「社説」から一節を引用したのは、金石範の一連の小説が済州島4・3武装蜂起を肯定する立場で描写されているからだ。

4・3武装蜂起は南労党が極東コミンフォルム(直接的にはソ連)の指示を受けて起こしたものだ。極東コミンフォルムは、済州島などに武装暴動を起こさせ、大陸での赤色革命を成功させようとした。そのための済州島4・3武装蜂起は捨て石であった。その捨て石にされた済州島民の数を金石範は「ほとんど一年足らずのあいだに八万人近い人間が死んで行った」(『季刊三千里』3号、1975年刊)と記載している。済州島武装蜂起に関わる死者の数は、公的には3万人に満たない。
対立をあおられ、武装闘争に走って命を落とした人々を追悼する金石範だが、半面それは前述の「社説」で指摘されている「主張が通らないなら、直接暴力で世の中を変えてもいい」という短絡した考えに支えられたものであろう。
徐彩源社主や金達寿一行は、言論の自由を求めて訪韓している。その訪韓に反対し、あくまでも済州島4・3武装蜂起を讃えていく金石範は、何を求めていたのであろうか。結果として民主主義を否定し、権威主義で国内を統一し自由な言論を封じる金日成政権を支持することになった。

2023-05-17 5面
뉴스스크랩하기
社会セクション一覧へ
「パンデミック条約」反対会見開く
金永會の万葉集イヤギ 第5回
金永會の万葉集イヤギ 第7回
「パンデミック条約」反対を宣言
民団大阪で3機関長選出
ブログ記事
マイナンバーそのものの廃止を
精神論〔1758年〕 第三部 第28章 北方諸民族の征服について
精神論〔1758年〕 第三部 第27章 上に確立された諸原理と諸事実との関係について
フッサール「デカルト的省察」(1931)
リベラルかネオリベか
自由統一
金正恩氏の権威強化進む
北韓が新たな韓日分断策
趙成允氏へ「木蓮章」伝授式
コラム 北韓の「スパイ天国」という惨状
北朝鮮人権映画ファーラム 福島市で開催


Copyright ⓒ OneKorea Daily News All rights reserved ONEKOREANEWS.net
会社沿革 会員規約 お問合せ お知らせ

当社は特定宗教団体とは一切関係ありません