尹錫悦政権は１１カ月後の総選挙に向けた政治工学に没頭している中、司法と選挙制度に対する国民の不信と不満が臨界値を超えている。中央選管委が去る２年間、国外から８回もハッキング攻撃を受けても、何の対策も講じなかった事実が明らかになった。不正選挙の実状を扱ったドキュメンタリー映画『あなたの一票が危ない』の上映を通じ３年前の不正選挙状況が決定的に暴露される中、大法院が野蛮的な暗黒裁判を恣行、国民的抵抗に火をつけた。大法院は、２０２０年の４・１５総選挙の比例代表選挙無効訴訟を国会議員の任期１年を残して開いた初の弁論期日で何の弁論もなしに全ての証拠方法を一括棄却、弁論終了を宣言した。

　尹大統領は外交舞台でも、自由・人権・法治を共有するなどの言葉を欠かさないが、公正な裁判を迅速に受ける国民の基本権が否定され、司法部の法治蹂躙も放置している。与党「国民の力」は憲法が保障した表現の自由を無視し、常識的な歴史観を披露した者を懲戒した。尹大統領と与党は選挙で票を得るため「５・１８精神」を憲法に入れるという。
野党・李在明党（共に民主党）は、常識と法に基づく共同体と秩序を追求する政治団体ではなく反逆集団、犯罪集団に近い。検察は、「韓弁」と北韓人権団体総連合など７団体が、殺人、職権乱用、不法逮捕・監禁、職務遺棄、国際刑事犯罪法違反などで昨年７月、検察に告発した文在寅や、不正選挙など共和制を破壊する犯罪は捜査せず、枝葉的事件を捜査している。
立法独裁と司法独裁に比べ実状が隠蔽されてきた選管委の不正と反逆が国情院の発表で明らかになった。中央日報は３日、国情院が去る２年間、中央選管委が海外から８回ハッキング攻撃を受け、そのうち７回が平壌の偵察総局によるものと通知したが、選管委側はセキュリティ対策の助言も拒否したと報じた。国情院は３月下旬、選管委の幹部と接触しセキュリティコンサルティングを勧告したが、選管委側は「法的義務事項ではなく憲法機関の独立性と政治的議論の素地もある」と一蹴した。北側がハッキングをしたのに、選管委関係者の立ち会いでの点検の代案も、選管委は拒否した。
中央選管委は報道を否定したが、国家サイバー安保センター（国情院）は、ハッキング攻撃状況を詳細に公開した。選管側は、韓国産電子投票機を導入したイラクでハッキングの試みがあったことについても、イラクの装備は情報伝送が可能だが、韓国が使うものは情報伝送が不可能と強弁した。選管委を攻撃したハッキング組織のラザルスは、昨年１１月から韓国の公共機関など６１カ所のコンピュータ２０７台にマルウェアを広げ、政府は２月「ラザルス」をサイバー制裁対象に指定した。
選管委は不正選挙以外にも人事や雇用世襲などが暴露され、閔庚旭など一般人１０００人が告発するなど国民的憤怒が爆発するや、国情院と行政安全部の保安点検を受けると後退した。
驚くことに、基督自由統一党（現自由統一党）が２０２０年５月に提起した比例代表選挙無効訴訟が、原告側が３年間に１２８回も弁論期日要求書を提出し裁判部の忌避申請や職務遺棄で告発しても、大法院は裁判の進行を拒否してきた。大法院が１２日に初弁論期日を開いたのも、原告側が閔裕淑大法官などに対し裁判忌避による損害賠償民事訴訟を提起したため、やむを得ずの行為だ。
大法院が必死に裁判の進行を拒否してきた理由は、２０年の総選の際に３５政党が比例代表に登録して比例代表の投票紙の長さが４８・１センチだったため、再検票に備えた偽投票紙を作ることが不可能だったためだ。
大法院は詐欺的手法で作った審理不続行制度（上告審手続に関する特例法）を悪用、刑事事件を除き、民事、家庭、特許、行政審判の８５％を裁判もせず棄却してきた。上告審の費用をすべて支払ったにもかかわらず、大法院が年間１万件を審理もせず棄却してきたのに憤慨した文炯植弁護士が７日、大法院裁判被害研究所を発足した。司法制度に対する国民抵抗に火が付けば革命しかない。