韓国内で次々と暴かれている、北側の指令による地下組織のスパイ疑惑事件。そのなかで裁判を受けている尹美香被告が運営委員を務める非営利団体「金福童の希望」を中心に、日本の左派系市民団体と緊密なつながりがあることがわかった。
韓国の国家情報院(国情院)の捜査によって、北側からの指令を受けて活動しているスパイ地下組織の実態が少しづつ明らかになってきている。
すでに、全国的に組織化されたスパイ団「ハンギル会」や、慶尚南道を拠点とした「自主統一民衆前衛」など、全国各地で地下組織に対する者の家宅捜索が行われている。また、全国民主労働組合総連盟(民主労総)の幹部4人が国家保安法違反容疑に問われたことで、ソウル市内にある民主労総の本部を家宅捜索した。
当該逮捕者のなかには、元国会議員補佐官(4級公務員)がおり、2020年に共に民主党から出馬した尹美香議員のもとで2年間、補佐官を務めていた。
この容疑者は、16年にベトナムで北韓工作員と接触し、ソウルに戻ってから北韓に暗号文で報告していたことが捜査で明らかになった。さらに同年から、非営利民間団体である「金福童の希望」の運営委員を務めていたとされる。
「金福童の希望」とは、元従軍慰安婦である故・金福童さんの名前を冠した奨学金基金で、主に在日コリアンの子どもたちに奨学金が贈られている。
しかし20年6月に弊紙紙面で、慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(正義連、旧・韓国挺身隊問題協議会)の前理事長である尹美香議員が「金福童の希望」名義で韓国国税庁に提出した明細書について「国外事業」と称し、19年に計7300万ウォンを日本の朝鮮学校などに支給していたことを報じた。また尹美香被告は、元従軍慰安婦関連団体から寄付金としてだまし取った1億ウォンを正義連へ流用したなど八つの罪状で懲役5年を言い渡されている。運営委員には、尹美香被告を中心に、彼女の夫や、補佐官と秘書官が名を連ねており、この秘書官を通じて、韓国の労組へ反政府・反日活動などの資金提出が行われ、日本の左派系市民団体などとつながっているという報告もあがっている。
現在、日本では金福童さんの4回忌に合わせて、ドキュメンタリー映画「金福童」が全国公開されている。これは日本の市民団体「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」(全国行動)が運営しており、各地で上映後に一般社団法人「希望のたね基金」代表理事の梁澄子氏など、さまざまな市民団体や活動家のトークショーが行われている。この「希望のたね基金」は、正義連の協力団体である。
東京の上映会では一般社団法人「Colabo」の仁藤夢乃代表が登壇した。仁藤代表は金さんと生前から交流があり、全国行動とも近しい関係にある。
また、梁代表理事は「Colaboと仁藤夢乃さんを支える会」の賛同人でもある。
さらに「希望のたね基金」は韓国内で従軍慰安婦をブランド化した「マリーモンド」の日本支部にあたる「マリーモンドジャパン」を運営しており、収益金をマリーモンド経由で正義連に寄付している。
北韓によるスパイ活動は、このように日本国内の左派団体・活動家に浸透しており、これら複雑に絡み合った関係性は、まだまだ氷山の一角である。
 | 尹美香被告(写真=国会写真共同取材団) |
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