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2022年09月27日 11:14
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【映画】『声/姿なき犯罪者』
身近に忍び寄るフィッシング詐欺の恐怖

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ソジュンはかつて優秀な警察官だったが、今は釜山の建築現場で働いている。妻や仕事仲間と平穏な日々を送っていたが、ボイスフィッシング(振り込め詐欺・特殊詐欺)グループの魔の手が忍び寄る。マンション購入ローンのための費用を失い茫然自失となった妻は交通事故に遭い、会社の30億ウォンを騙し取られた事務所の所長は自殺してしまう。妻と仲間のために金を取り戻そうとするソジュンは、大規模な詐欺グループに潜入する。
淡々としながらも鋭い眼光と大胆なアクションでソジュンの怒りを表現するのは、日本でも人気を博した『未生 ミセン』でドラマデビューし、その後数々の話題作で演技力を遺憾なく発揮してきたピョン・ヨハンだ。彼は今回、ほぼ全てのアクションシーンを自身でこなしたという。
ソジュンが潜入する詐欺集団には個性的な演技派が顔をそろえる。巧妙な詐欺のシナリオを組み立てる組織の頭脳・クァクには『悪人伝』(19)の刑事や『正直な候補』(20)のコミカルな補佐官などでお馴染みのキム・ムヨル。社会情勢や心理学を熟知し、人々の希望と恐怖心を煽りながら金を巻き上げていく悪人を表情豊かに演じる。組織の絶対的な監視役・チョン本部長は、『寄生虫(パラサイト)』(19)の家政婦の夫役で強烈な印象を残したパク・ミョンフンが演じた。本人が考案したという個性的な髪型などで、国籍不明の不気味な人物像を作り上げている。
必死に組織のアジトを追う警察の知能犯罪捜査隊のチーム長には数々の映画やドラマで存在感を示してきたキム・ヒウォン。主人公を助けるハッカー役でイ・ジュヨンが緊張が続く場面のいいアクセントとなっている。
監督は複数の作品を共に手がけてきたキム・ソンとキム・ゴクの双子の兄弟だ。両監督と制作スタッフは16年から徹底した事前調査や取材を関係各所に行ってきたという。
配られたシナリオ通りに詐欺を仕掛けるのは、ショッピングモールの廃墟のような広いフロアにぎっしりと集められた者たちだ。彼らに罪の意識は見てとれない。「売り上げ目標」として掲げられている数字を達成したときには、ハイタッチで喜び合う。人間として大切なものを抜き取られたかのような彼らもまた、被害者といえるのかもしれない。

公開=10月7日(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー。
公式HP=https://koe-voice.jp/

2022-09-28 6面
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