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2022年09月06日 10:49
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ソウルを東京に擬える 第13回 郷土料理
愉しみ味わう昔ながらの庶民の味

 大きなアルミ鍋に鶏を丸ごと入れて煮込んだタッカンマリ。鶏の水炊きとも訳され、日本で人気の韓国料理のひとつだ。東京には専門チェーン店まで存在するが、韓国での知名度は意外にも低い。この料理の名を聞くと言葉通り「鶏一羽」と解釈してしまう人が多いのだが、実はソウル・東大門付近を発祥とするローカルフードである。東大門には70年代に高速バスターミナルが存在し、近くの食堂で出されていた鶏カルグクス(韓国式うどん)がその由来とされる。ターミナルが廃されたあとも食堂街は残り、今ではタッカンマリ通りとなった。鶏は酢や醤油、タデギという辛味などを混ぜたタレにつけていただき、鍋の〆にはカルグクスを入れ、鶏の出汁とともに味わう。
ソウルにはタッカンマリの他にもひとつのメニューに特化した飲食店が集まり、名物飲食通りを形成しているが、東京にも実はそうした場所がある。それは隅田川河口の月島にある月島もんじゃストリートだ。ここは80店舗以上ものお店が並ぶ、もんじゃ激戦区として知られる。水で溶いた小麦粉に野菜などの具材を混ぜ、鉄板の上で文字を書くように焼いたことがもんじゃ焼きの由来とされるが、昭和の時代に東京下町の駄菓子屋で子どもたちが食べたことから全国的に広まったもので、れっきとした東京発祥の郷土料理である。
ソルロンタン
 ソウルの代表的な料理をもうひとつ挙げておこう。それはソルロンタンだ。牛骨や肉を長時間煮込んだ白濁のスープで、漢字では「雪濃湯」とも表記する。朝鮮時代に王が先農壇(ソンノンダン)で豊作祈願の祭祀を行ったときに振る舞われた料理とされる。ソルロンタンにはチェーン店もあるが、なかでも1904年創業の里門ソルロンタンは韓国の最古の食堂として知られる。素材の味が活きたあっさりとしたスープで、添えて食べるキムチも老舗らしい味わいだ。十数年前までは鍾路の風情ある韓屋で営業していたが、再開発のために仁寺洞寄りに移転し営業を続ける。また東京・赤坂の一龍はソルロンタン専門店として知られ、扉には「ソウル料理」と刻まれている。付け合わせのおかずの多彩さはこの店ならではだ。
諸説あるが、東京最古の居酒屋といわれるのは1905年創業、神田司町にある”みますや”だ。年季
柳川鍋
が入った木造の佇まいで、扉の前には「どぜう」と書かれた赤ちょうちんが掛けられている。この店で提供される酒肴のひとつが柳川鍋だ。浅い小鍋にごぼうが敷かれ、泥鰌(どじょう)とともに卵とじされた料理だ。もともとは暑い夏に精をつけるための庶民の食べ物だった。この店ではお手頃に味わえるが、今では下町の老舗店のメニューとなり高級化している。
ちなみに韓国で泥鰌を使った料理といえば鰍魚湯(チュオタン)だ。伝統的には秋の保養食だが、夏も含めて年中味わうことができ、韓国では柳川鍋よりも大衆的な料理だといえる。泥鰌は丸ごと使うか、煮てすりつぶして入れるかで、味付けも地域により異なるがソウル式は牛を煮出した汁を使う。ソウル市庁近くの湧金屋(ヨングムオク)はその老舗として知られている。
また漢江に面した麻浦(マポ)のアミの塩辛(セウジョッ)はかねてより有名だった。水運が盛んだったころ、西海岸の良質な塩辛が漢江を通して運ばれてきたことからだ。もちろんこれはキムチの材料にも欠かせない。一方で東京には海があり江戸前寿司は有名だが、他にも江戸前で獲れた小魚や貝類を煮付けた佃煮は佃島(月島の隣)に由来する。そしてあさりのむき身と煮汁をご飯にぶっかけた深川めしは忙しい漁師たちの食事で、今でも門前仲町や清澄白河駅近くの旧深川区に専門店が多い。
ソウルへ美味しいものを求めて出かけるのもよいが、東京で昔から庶民に親しまれた味を再発見してみるのもよいだろう。

吉村剛史(よしむら・たけし)
1986年生まれ。ライター、メディア制作業。20代のときにソウル滞在経験があり、韓国100都市を踏破。2021年に『ソウル25区=東京23区』(パブリブ)を出版。

2022-09-07 6面
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