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最終更新日: 2022-09-28 11:45:26
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2022年07月29日 10:59
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いま麹町から 2 髙木健一
サハリン残留韓国人問題と五十嵐広三先生

 前回にも名前があがった五十嵐広三議員の存在は大きいものがありました。五十嵐議員(社会党)が、1993年に細川内閣の建設大臣に、94年に村山内閣の官房長官という政府の枢要な地位に就くという幸運なめぐりあわせもありました。韓国人の人権問題で日本政府を動かすには、社会党という野党の議員の力では困難だったのです。自民党も含めた超党派の議員懇の力が大きかったと、あとで外務省の担当者から聞きました。私はそれよりも五十嵐広三という国会議員の熱意が世の中を動かしたと思っています。
87年7月に設立した「サハリン残留韓国・朝鮮人問題議員懇談会」の事務局長となった五十嵐議員は翌8月には、原文兵衛会長と共に倉成外務大臣に要請するなど日本政府に働きかけつつ、当時、ソ連を訪問する日本の国会議員にサハリン残留韓国人問題を訴えたのです。その頃、訪ソした日本の国会議員はなぜかサハリンの韓国人の話ばかりするとソ連の外務省が驚いていたほどでした。
五十嵐議員も87年8月、自ら訪ソしてソ連の外務省の次官や共産党のコワレンコ国際副部長に協力要請をしたのですが、すぐには成果は出ません。言うまでもなく、当時のソ連は共産党の書記長に権限が集中しており、下から持ち上げること自体、難儀なことでした。そこで、五十嵐議員は88年5月6日、土井たか子社会党委員長の訪ソ団に加わりました。しかし、ソ連共産党と日本社会党の会議では、ゴルバチョフ書記
土井・ゴルバチョフ政治会談 出典=「サハリン残留韓国・朝鮮人問題と日本の政治」(議員懇談会編)
長と話すことができるのは土井委員長だけでした(写真)。しかし、会議が終わって代表団が別れるときにチャンスがあったのです。ゴルバチョフ書記長が、日本社会党の代表団と別れの挨拶の握手をしたとき、順番がきた五十嵐議員は書記長の手を放さず、「サハリンの朝鮮人問題を解決して下さい」と話しかけたのです。手を握られたままの書記長は「全て終わったのではないか」と通訳を通して話したので、五十嵐議員は「それは日本人のことです。朝鮮人はまだ帰れていません」と話したのです。書記長は、スタッフに「調査するように」と指示をしたので、五十嵐議員はやっと握手した手をほどいたのです(これは、私が五十嵐議員から直接聞いたことです)。このことがあってか、サハリンの韓国人の出国が随分容易になりました。
まだまだエピソードがあります。その頃、五十嵐議員や仙谷由人議員らと訪韓した際、韓国の国会議員との懇談会がありました。私も参加したのですが、韓国の国会議員は日本の国会議員に対して植民地36年間の被害を繰り返し話したのに対し、五十嵐議員は「わかりました。しかし、この中で、サハリンの韓国人のことを夜寝る前も、朝起きても思い続ける人はいますか。私はそうです」と話し、その場の空気を支配したのです。サハリンの韓国人の帰国問題を日夜考えていたからこそ、前記のゴルバチョフ書記長との握手の場面が実現できたのです。政治家のまさに政治の場面でした。
また私たちは、90年頃は毎年のように8月15日に韓国の留守家族の会である大邱の中ソ離散家族会の総会に参加していたのですが、ある年、夫を連行された妻が、五十嵐議員のネクタイを掴み夫を返せと延々と繰り返した場面(身世打鈴)にも従容として、耳を傾けていました。
この五十嵐議員と私が最後に取り組んだのは、北海道稚内市のサハリンが望める稚内公園にサハリン残留韓国人慰霊碑を建立する計画でした。しかし、社会情勢のため取りやめになったのは残念でした。その五十嵐議員は2013年5月に87歳で亡くなりました。

高木健一(たかぎ けんいち)
1944年、中国鞍山市生まれ、和歌山県出身。東京大学法学部卒、弁護士。長年サハリン残留韓国人問題など戦後補償問題に取り組む。89年韓国国民勲章牡丹章受章。著書『今なぜ戦後補償か』(講談社現代新書)など。

2022-07-30 5面
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