世界的な資源供給の混乱が加速する中、ウクライナ事態の収拾の動きが見られない。ロシア軍はウクライナがNATOの支援で完成したドンバス地域の要塞、ウクライナのマジノ線を突破、ウクライナ軍の精鋭部隊を包囲する構えだ。
米・英は、ウクライナに支援を強化しながら、ウクライナ軍を督戦、ロシアを消耗させる手段として使う意図を明確にしている。これに対し、EU内では米国に戦争の早期終結を求める声が高まっている。
トランプ大統領を非難し、バイデンの当選を歓迎したヨーロッパが、米国の拡戦意志を見て驚き始めたのだ。ロシアの資源に依存する国々、特にドイツ、フランス、イタリアなどは、米国の戦争持続努力に当惑し、ヨーロッパはロシアに屈辱感を与えてはならないという主張が出ている。
長い間、中立を維持してきたスウェーデンとフィンランドが、NATO加入を急いだが、EU加入を拒否されてきたトルコが、自国内クルド族を支援する両国のNATO加入に反対する意思を表明した。米・英と他のEU諸国間の戦略的利害が一致しない実状が露呈し始めている。 |