ある日気が付くと、そこは10年後の未来で、10歳年を取った自分に出会う。もう一方の見方をすれば、10年前の自分が突然訪ねてくるというわけだ。10年後の自分に、もしくは10年前の自分に、皆さんなら何を思うだろうか。
17歳のオ・イェスルはモデル志望の高校生。自他ともに認めるスタイル抜群の美少女だ。親友の女友だちも一人はいて、優しい彼氏とも付き合っている。家族と乗った飛行機のアクシデントで気を失い、10年後の世界へ。そこで夢から逃げた27歳のオ・イェスルと出会う。
著者は、つらいときに未来の自分になりきって今の自分に手紙を書くのだという。「過ぎてしまえば大丈夫だよ」とのメッセージを送るためだ。そのうちに、昔の自分なら何と言うだろうか、文句の一つも言うだろうか、との考えが浮かび、本書を執筆した。
確かに、思い描いていた未来像通りにいくことは稀だろう。ただし、それが違ったとしても、不幸であるかどうかはまた別問題だ。27歳のオ・イェスルは、若い自分の言動に振り回されながらも、自分の人生と向き合っていく力を持っている。人生は上がったり下がったりの繰り返し―それにゆっくり身を任す術は、年齢とともに身についていくのかもしれない。
小学館刊
定価=1760円(税込) |

- 2022-05-18 8面

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