今や世界中に広がった感のある韓国コンテンツだが、将来的にも持続可能な韓流を目指すにはどうすればいいか。韓流20年余りの発展過程を見直し、今後の展望と課題をまとめた報告書「韓流の発展過程と今後の展望」が、韓国コンテンツ振興院から発表された。中国や日本を中心に盛んだった韓流が世界的な支持を得るまでになった背景と、これからの韓流について考えてみた。
■2018年以降の韓流
韓国コンテンツ振興院は、1990年代半ばから起こった韓流の発展過程を4段階に区分、BTSが米ビルボードホット100で初の10位入りを果たした2018年から現在までを第4期と定義している。それまでと大きく異なる特徴として、韓流コンテンツがアジアの一部だけでなく全世界的に広がり、しかも「韓国好き」なファン中心から抜け出し、社会に定着する動きを見せている点を挙げている。数字からも、まだ中国圏に対する輸出依存度は高いものの(20年基準39・9%)、インド、トルコ、UAE、ブラジル、北米や欧州、アフリカなどへの輸出も大幅に成長している。
韓国コンテンツの輸出額は05年の13億ドルから20年は119・2億ドルへと9倍近く成長した。この15年間、年平均増減率(CAGR)は15・9%の高い成長を見せている。
さらに、20年の韓流の直接・間接輸出効果は105・2億ドル、生産誘発効果は21兆8466ウォン、付加価値誘発効果は10兆185億ウォン(韓国GDPの0・52%)、雇用効果は13万6503人との数字も提示された。
また、12年に783カ所だった全世界韓流同好会は、20年には1835カ所に増加、会員数は同期間670万人から1億478万人に増加した。韓国の国家イメージに対する連想もK―POP(49・1%)、映画(44・4%)と、BTSを代表とするアイドルグループや映画『パラサイト』などの人気が反映している結果となった。
■課題の変遷とこれから
ドラマ『冬のソナタ』や王朝時代劇、東方神起や少女時代などのK―POPアイドルが人気となり、韓流は中国・日本を中心に大きく広がったが、同時に日本や中国との政治的摩擦が問題となるたびに、韓流が東アジア市場で難航するという課題が常について回った。転機となったのは情報通信技術(ICT)の発達だ。
大容量データの伝送がより容易になり、スマートフォンが普及し、手軽にオンラインでコンテンツを楽しむ人々が増加。ソーシャルメディアはテキストから動画が基本となった。それに伴い、動画配信企業のコンテツ需給競争は激化している。一方で世界は多様性が求められる風潮にあり、グローバルコンテンツ市場で主流だった白人文化とは異なる文化が求められるようになった。このような条件に韓流がピタリと当てはまっているのだ。
今ではネットフリックスなど米国のグローバル企業との協力が強化され、韓国がコンテンツを生産・供給し、米国で流通する形式も目立ってきた。韓国コンテンツはグローバル化が定着したといえるが、持続可能な韓流を考える上では、韓国を前面に出すよりもその地域の「現地化」がより重要な要素になってくると報告書では分析している。たとえば日本やフィリピンで見られるように、韓国人が参加していないアイドルグループが韓国企画会社のノウハウを通じてデビューし、人気となるなどの現象だ。いわゆる「韓国のない韓流」の可能性が模索され始めている。 |