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最終更新日: 2022-06-22 05:50:32
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2022年03月11日 11:09
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古代史万華鏡クラブ~私説・骨董で学ぶ古代史(4)
青銅の鏃(やじり)が伝える古代史①

 今回もまず手のひらの写真を見て欲しい。主役は二つの青銅の鏃(矢尻)。それだけでは寂しいので縄文時代の黒曜石の石鏃二つも一緒に写してみた。石鏃の小さな方はリスや鳥くらいしか射られなかっただろう。平和な時代の鏃だ。
世界のほとんどの地域は石器↓金石併用(石器と銅器の併用)↓青銅器↓鉄器の順で発達してきた。昔は自然銅は地表から容易に拾えたようだが、溶かして加工するには1100度の火力が必要になる。古代人の驚くべき英知は銅に錫や鉛を加えると溶解点が下がり、より強靭で鋭利になり、しなやかさも増すという冶金術を発見し青銅器時代が始まる。小アジアで紀元前4000年紀の終わりの頃のことである。
青銅の誕生で工具や農耕具、武器が作れるようになり小アジアや中東、インドに古代国家が生まれることになる。余談だが、あのレバノン生まれの元日産社長カルロス・ゴーンは経済学部出身ではなくフランス国立高等鉱山学校の出身である。名門校らしい。古来、青銅器や鉄器を生んだ小アジアや、青銅器が早く伝わった欧州では今も鉱山学や鉱物の学問を重要視しているようだ。ちなみに日本で鉱山学部があるのは大きな銅山があった秋田大学だけである。
なんでも発明したように思われる中国で青銅器が作られるようになるのは殷時代(紀元前1600年~)だ。西方の文明と比べればずいぶん遅れるのだが、これが朝鮮半島に伝わるのは紀元前400~500年頃といわれる。しかし最近、江原道の遺跡から紀元前11~13世紀と推定される青銅器が出土している。早い時期に中央アジアから伝わったのだろうか。
一方、倭(日本)にはようやく紀元前200年ころ半島から青銅だけでなく鉄も一緒に伝わったらしい。世界でも珍しい例だろう。
倭では剣や鏃などの武器や斧、ヤリカンナなどの工具に使われた青銅器だが、鉄器の鋭利さに負け、次第に実用性を失い、それぞれの地域で祭祀の道具として使われていくことになる。大雑把に言えば九州では銅鏡と最新の鉄剣。近畿では銅鐸。出雲では銅剣・銅矛を祭った。いずれも中国や半島からのルーツを持つ勢力なのだが、結果として銅鏡と鉄剣を奉じる勢力がトンボやサギ、カエル、スッポンや臼で籾を突く様子を銅鐸に刻んだ平和な稲作民族を壊滅。出雲や対馬、四国にも勢力があった銅剣・銅矛族をも駆逐したというわけだ。
各勢力がこれらの銅器を作るためには半端でない量の青銅が必要だったろう。銅鐸は現在までに300器以上発掘されているが次第に巨大化、高さ134センチ、45キロの物もある。どうやって調達したのだろうか? 後の奈良時代には500トンもの銅を使って大仏を作っただけに銅は豊富。鉛も採れた。ただ当時、倭では錫が採れずすべての青銅素材が半島から輸入されたとする説の方が有力だ。あの時代、半島では鉄は超ハイテクであり、もはや青銅器は古いものとみなされていただろうから買い求めるのは鉄よりは容易だったであろう。
ようやく本題の青銅の鏃の話になる。写真の長い茎が残っている大きな方はモンゴル、茎がなくなっている小さな方はソウルで買った。鏃は定角型、柳葉型、鑿頭型に分類されるが小さい方は三角の立体形で定角型、大きい方は四角の立体形で柳葉型か。どちらも深い鎬があり空気抵抗は小さく方向性も良さそうで、破壊力は凄そうだ。本物なら大昔の物だが、買値は千円程度。そんな安い偽物を手間暇かけては作らないだろうと思って、紀元前の物と信じている。
この二つの鏃を見ながら、大陸の騎馬民族と半島の古代国家の攻防を思い浮かべる。青銅器時代、半島をうかがい侵攻してきた大陸の遊牧民族は数多い。その代表は紀元前4世紀末ころモンゴル高原に生まれた匈奴だろう。その勢力は万里長城の北を押さえ、秦や漢と激しく争った。半島北部にも領土を広げていたから激しい侵攻があったはずだ。
匈奴の弓は強力だ。柳科の反発力の強い木の板2枚の間に、薄く削った動物の骨や角を膠で接着した反転弓を武器とした。その長さは1メートル前後の短弓。後のモンゴル帝国時代の話だが、今のアーチェリーの距離競技用の弓の強さは約23~41キロ。それに対しモンゴルの反転弓は71キロもあり、600メートル先の的を射抜いたという記録がある。匈奴の弓はそのルーツであり、恐ろしい武器だった。あの時代、石や骨を鏃に使う民族が多かったが、匈奴は青銅を使い圧倒的に強かった。
モンゴルで買った大きく重い鏃はこの匈奴のものじゃないか……と思ったところで紙面が尽きた。           (つづく)

【講師紹介】勝股 優(かつまた ゆう)自動車専門誌『ベストカー』の編集長を30年以上務める。前講談社BC社長。古代史万華鏡クラブ会長。奈良を愛してやまない。

2022-03-12 6面
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