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最終更新日: 2022-06-22 05:50:32
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2022年02月24日 06:31
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◆多方面からひもとく韓国映画◆『ブルー・バイユー』(米国)
移民社会にとって「家族」とは何か

下川 正晴(元毎日新聞ソウル支局長)

 コリアン系米国人ジャスティン・チョンによる監督・脚本・主演作品である。3歳で米国人家庭の養子になった韓国人青年が、養父母による市民権の不申請により、約30年後に国外追放される映画である。移民急増の国際的な人口移動時代にあって、「家族の絆」とは何かを問いかけた秀作だ。
「海外養子」問題は韓国社会の深層部に関わるテーマであった。名作『冬の小鳥』(2009)は、フランスに「輸出」される少女の物語だ。韓国は1953年から2010年までに、約16万人の海外養子を送り出してきた孤児輸出国だった。米国では00年に「養子市民権法」が出来たが、この映画のように、法的ネットワークのすき間に陥った実例が少なくないという。
ジャスティン・チョンは08年以来、俳優として活躍してきた。監督としてはロス暴動を描いた長編『Gook』(17)で注目され、本作が4本目である。米国コリアン社会と家族を描く彼の映画は、「パワフルな是枝裕和」を思わせる。米国内での報道を見て韓国人養子をめぐる事態に気づき、映画化したという。
脚本、演出、キャスト、撮影、音楽がことごとく優れている。多民族のルーツを持つ俳優陣とスタッフの総合力が大きい。韓国人移民の家族史映画『ミナリ』(20)をしのぐ出来栄えだ。
題名『ブルー・バイユー』(青い入り江)は、米国南部の叙情を歌ったバラードである。『リリーのすべて』(15)の女優アリシア・ヴィキャンデル(スウェーデン出身)がチョンの恋人役であり、ベトナム人家庭のパーティーで歌う。
家族(親子孫の三世代)と民族の現代史映画として圧巻だ。
この重大なテーマに、チョン監督は在米コリアンの経験と観点から切り込んだ。幼子を殺そうとした母(韓国)、暴力と愛情の対照曲線を描く二つの家庭(米国)、戦争と脱出の家族史(ベトナム)。それぞれの家庭と個人が米南部ニューオーリンズで出会い、激突し、また共感するのだ。
コリアとベトナム。戦争のトラウマがある両民族を、孤児青年と難民父娘の出会い、生と死を描いた手法は、家族史映画として重層的な厚みがある。晩年を米国で迎えたベトナム人老父の感慨を、私は心が震える思いで聞いた。
「切迫感があると同時に、普遍的な映画を目指した。10年後に観ても、古臭くないようにしたかった」。監督のもくろみは成功したと言える。移民と国外追放、権力の乱用、家族の別離、民族と個人のアイデンティティ。それらの現実と表象は、世界中どこにあっても苦闘のさなかにあるからだ。
昨年6月現在の在日外国人数は、約282万人である。中国74・5万、ベトナム45万、韓国41・6万、フィリピン27・7万人。「朝鮮」籍はもはや、ベスト10圏外である。日本における外国人問題は、長らくコリアンを中心とする問題だったが、様相は激変しつつある。東南アジアからのニューカマーに「家族の問題」が現存するのは、すでにメディアの報道で明らかだ。
在留外国人の動向は変化したが、日本政府の移民政策は依然として揺れ動いている。この映画を見ながら、少子高齢化問題と移民政策に正面から取り組まない日本社会の、迫りくる混乱を予見するのは私だけでもあるまい。チョン監督の最新シリーズは、原作が話題になった『パチンコ』(アップルTV+)である。3月25日公開予定。しばらく目が離せない映画人になりそうだ。

2022-02-23 6面
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