玄関のチャイムが鳴って、宅配便が届いた。待っていた電動の歯磨きセットが届いたのだった。そして用がなくなったダンボール箱は、ぽいっとベランダから投げ捨てられる。マンションのあちこちの窓からダンボール箱が捨てられていく。マンションより高いダンボールの山がいくつも出来上がったころ、ダンボールたちはもぞもぞと動き出す。ぎゅるるる~、空っぽのダンボールたちは空腹に耐えられず、周囲にあるものを手あたり次第食べていく…。
雨に打たれたあとの静かな月夜の晩に、世界のすべてを飲み込んだダンボールたちは自分たちが夢の中で木だったことを思い出していた。みんなで力を合わせて木になってみよう―夜が明けるころ、もはやダンボールの姿はなく、たくさんの木が朝日を浴びて誇らしげに立っていた。そして、また世界が動き出す。
本書は「SDGs・消費社会について考える絵本」だ。表情豊かなダンボールたちが大切なことを教えてくれる。だが、少しホラーだ。さて、物語は果たしてハッピーエンドを迎えられるのか。どうやら、それは私たち自身にかかっていると言えそうだ。
TOY Publishing刊 定価=1980円(税込) |

- 2021-02-16 6面

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