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最終更新日: 2021-09-24 17:48:38
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2021年07月28日 00:00
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高英起の 髙談闊歩 ―第6回― 残念な文大統領の訪日見送り

 東京オリンピックが始まった。本稿執筆時点(23日)では開会式も予定通り行う計画で既に競技もはじまっているが、新型コロナウイルス感染拡大、関係者の不祥事など、前代未聞の事態が続出する中、ネガティブな「盛り上がり」を見せている。北朝鮮は4月時点で、早々と不参加を表明していた。理由は「世界的な保健医療危機状況から選手を保護するため」、つまり新型コロナ対策とのことだ。北朝鮮は国際的なスポーツ大会、とりわけ五輪を国威発揚のプロパガンダとして重要視するだけに、「不参加決定」はいささか拍子抜けだ。
金メダルを獲得して、国歌(愛国歌)が流れるなか、国旗が掲げられる。ロンドン五輪(二〇一二年)の女子柔道で金メダルを獲得したアン・グメ選手は「祖国と人民に栄光をもたらし、金正恩元帥に喜びと楽しみを与えることになり幸せだ」とコメントした。最高指導者に就任して間もない金正恩総書記(当時の肩書きは第一書記)は、狂喜乱舞したに違いない。金メダリストは国家的英雄となり、その後の生活も保証される。五輪ではないが、柔道の国際大会で地方出身の選手が金メダルを獲得した時、開口一番「家族を平壌につれてこられるのが一番嬉しい」と親しいコーチに語った。人生をかけて金メダルを目指した北朝鮮のオリンピアンらにとって、自国の不参加は無念極まりなかっただろう。ただし冷静にみれば、北朝鮮の不参加は妥当かもしれない。
金正恩氏は新型コロナウイルスの感染拡大、とりわけウイルスの国内流入に極度の警戒を示している。経済の要である中朝貿易に規制をかけ、連日のように国営メディアを通じて防疫対策を呼びかけている。現時点で、北朝鮮が五輪に参加するメリットはそれほどないという判断だろう。日本政府は北朝鮮の五輪不参加に対して冷静に受け止めたようだ。とはいえ、日朝間には日本人拉致問題という最大の懸念事項が存在する。もちろん、五輪外交で一気に解決とはならないだろうが、糸口の一つが失われたことになる。
北朝鮮の五輪不参加を最も悔しがっているのは韓国の文在寅大統領だろう。一八年の韓国の平昌(ピョンチャン)で開催された冬季五輪に、金正恩氏の実妹である金与正(キム・ヨジョン)氏が特使として出席。南北関係は一気にすすみ、中朝首脳会談、南北首脳会談、米朝首脳会談へと続いた。一八年の南北首脳会談で署名した平壌共同宣言には、三二年の五輪の共同招致に向けて協力するとの内容が盛り込まれていた。
しかし米朝関係や米韓関係はその後、再び険悪化する。三二年の五輪誘致は、オーストラリアのブリスベンで決定し、共同開催の夢はあっけなく打ち砕かれた。文氏は東京五輪を南北関係改善のきっかけとしたかったのかもしれないが、北朝鮮は不参加を決定した。そのせいか、文氏も五輪開会式にあわせた訪日を見送った。南北外交も進められず、ただでさえ盛り上がりに欠ける東京五輪に参加するメリットはないといったところだろうか。
あくまでも私見だが、文氏が訪日していれば日韓関係にプラスになったかもしれない。東京五輪開催に対しては国内だけではなく、国際的にも厳しい意見が続出している。首脳級の来日は一五人程度と少なく、華々しい「五輪外交」も見込めない。ここであえて文氏が来日し、両国の懸念事項はいったん棚上げして、菅義偉首相と首脳会談を行う。厳しい局面にある五輪と日本全体に、文氏が友好的なエールを送っていれば、文氏と韓国の国際的な評価は高まっていただろう。ただでさえ日本で不人気の文氏の評価も見直されるきっかけになったかもしれない。来日見送りは、日韓外交当局にも責任の一端はあるが、外交的決断を下せなかった文大統領は大きなチャンスを逃したかもしれない。

高英起(コ・ヨンギ)
在日2世で、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。著書に『北朝鮮ポップスの世界』『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』など。

2021-07-28 4面
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