公益財団法人朝鮮奨学会が、2019年12月から20年2月にかけて行った意識調査の結果を10日、公表した。
本調査は、「韓国人・朝鮮人生徒・学生の被差別体験」をテーマとして、同会が当該年度に採用した高校奨学生と大学・大学院奨学生を対象に行った。「ヘイトスピーチ解消法」が成立した16年以降の被害実態を可視化することを目的としている。調査方法はネットや郵便を利用した自記式調査などで、対象人数は高校・高専生620人、短大・大学・大学院生877人の計1497人(韓国籍95・6%)。有効回収率は69・4%となった。
いやがらせ体験の種類としては、「言葉」「差別的待遇」「ネット」「デモ街宣」など全ての項目で「体験あり」との回答があった。このうち最も多くの割合を占めたのがデモ街宣とネットだった。一方、言葉によるいやがらせ体験は3割程度に留まった。
「日本学校で韓国・朝鮮人であることを理由に嫌な思いをした」という問いに対し、男性では約9割、女性では約8割が「全くない」「あまりない」と回答。アルバイト先や不動産賃貸・購入時などでもおおよそ同程度の結果となった。
「民族としての自己否定の経験」の有無については、8割近くが「まったく・ほとんどなかった」と回答。「とてもよくあった・よくあった」は約7%に留まり、差別体験の有無と民族としての自己否定は相関性が低いことも明らかになった。 |