韓日関係は、なかなか改善の兆しがみえない。対立は政治・経済・外交・安保などの全方位で深刻化している▼慰安婦や徴用工訴訟といった長期にわたる問題が解決されないまま、新たに姜昌一駐日大使のアグレマンや国防白書の記述をめぐる懸案が浮上している。問題は積み重なっていく一方だ▼この状況を、米国も座視できない。文在寅大統領とバイデン大統領は4日、電話会談を行い、双方が「韓日関係の改善と韓米日協力が地域内の平和と繁栄に重要だ」と明言した。韓日関係修復の必要性を申し合わせたとのことだが、対米関係さえ危ぶまれているなか、この発表を額面通りに信じることは難しい▼韓日関係悪化の矢面に立たされるのは、今も昔も在日同胞だ。国家間の問題という、個々人の力が及びにくい事柄とはいえ、しわ寄せは確実に来る。コロナ禍により、草の根交流の道も断たれたままだ▼この八方ふさがりの状況で、民団中央の三機関長選挙が行われる。議長と監察委員長は、現職が単独候補として立候補しているが、団長選挙は6年ぶりの実施となる。選挙戦を通じて、有権者だけでなく、全団員が今の民団のあり方を真剣に考える好機といえよう▼両団長候補とも所信表明で、韓日関係改善に触れている。「友好セミナー」を定期的に開催(呂候補)、韓日の有識者による諮問委員会を構成(任候補)など謳っているが、コロナ禍の中での開催は難しいだろう。両団長候補には、固定観念を覆し、いい意味での波風を立ててもらいたい。 |