ソウルの行政裁判所は、尹錫悦検察総長の停職2カ月の懲戒処分に対する効力を停止し、法務部長官の秋美愛はその決定を受け入れたというから、文在寅・秋美愛の”検察総長切り”は完全に失敗した。
尹錫悦検察総長は「裁判所の判断に深く感謝する。憲法精神と法治主義、常識を守るために最善を尽くす」とコメントした。韓国法曹界の良識の勝利といってもいいだろう。
尹錫悦検察総長の職務復帰は、文在寅政権にとって痛手となるという見方が大勢だ。文政権は尹錫悦検察総長を排除するため、”検察改革”という大義名分を掲げ、まず曺国を送り込んだ。曺国はタマネギ男と称され辞任、次に送り込まれたのが秋美愛だ。
秋美愛はこれまで、指揮権をいとも簡単に乱発し、法の権威を貶めてきたが、その黒幕が大統領の文在寅であることは公然の秘密だ。
秋美愛は、尹検察総長から人事権を取り上げるという形で、月城原発の経済性評価など文在寅政権の不正疑惑に対する捜査妨害を始めた。ところが尹検察総長はそうした妨害にもめげなかったため、秋美愛は指揮権を発動し、尹錫悦検察総長を検事懲戒委員会にかけた。
「法律をなんと心得ているのか」と罵倒したいほどの暴挙だ。これまでの憲政史上、たった1回だけという指揮権の発動を、秋美愛にいたっては4回も5回も発動している。法精神に対する侮辱というほかない。
文在寅も同じ穴のムジナであったことは、行政裁判所の答弁に表れている。「懲戒処分は大統領の人事権行使であるため、執行停止を容認すれば国論分裂など公共の福祉を害し、公正な検察権行使を脅かす恐れがある」と主張したのだ。
つまり、大統領の権利行使だから行政裁判所が大統領の決定に反対するな、執行停止を認めよ、ということになるからだ。文在寅は、国民への謝罪の形をとっているが、本音は一方的に検察や検察総長の抵抗を非難する発言であり、自らの非を認めたものとはとても考えられないと指摘されている。
そのような大統領の意向が否決され、尹錫悦検察総長の言い分が通った。大統領の威信は大きく傷つき、秋美愛の法務部長官でありながら法を無視する醜い顔も明らかになったといえよう。
(韓登) |