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2020年12月02日 00:00
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◆ドラマと文学で探る韓国 「不安を力に変えるもの」②
ドラマ「愛の不時着」×小説「驟雨」

青嶋 昌子

 今回は、セリ(『愛の不時着』)とスンジェ(『驟雨』)の生命力について考察してみたい。
北朝鮮の大地に一人取り残されたらと想像してみよう。言葉が通じなければどの国でも不安ではあるが、少なくとも国交のある国ならば、大使館に駆け込む方法が見つかるかもしれない。しかし、相手は北朝鮮である。まったく予測不可能な世界に一人放り出される恐怖…。
財閥令嬢であり、父親からも一目置かれる実業家のセリはさまざまな修羅場を潜り抜けてその地位に上り詰めた、いわば実業界の戦士である。そんな彼女がいくら北朝鮮だからといって、戦わずして負けるわけにはいかない。ジョンヒョクを言いくるめると、次は第5中隊の隊員たちの心をつかむ。純真な隊員たちに賞を授けるシーンには思わず微笑んでしまう。名前を呼ばれず拗ねるジョンヒョクにトキめいた視聴者も多いはずだ。
さらにセリの実力が如実に表れるのが、社宅村の住人たちとの会話だ。咄嗟に婚約者のフリをしてしまったことから、住人たちは興味津々。秘密の任務を受けているというセリに、その内容を聞き出そうとする大佐夫人。だがセリは決して口外できないと深刻な顔を作り、その直後に「ご存じでしょ」と不敵な笑顔を見せる。迫真の演技に思わず、してやったり!と拍手を贈りたくなるシーンである。
さて、もう一方のヒロイン、スンジェの場合。ソウル脱出を図ったものの、一歩及ばず、結局引き返す羽目になった一行。同乗していた使い走りの少年に銃弾が当たり、いやが上にも緊張が高まる。少年は泣きべそをかき、社長、課長の申永植、そしてスンジェは一体どこへ行けばいいのか、とまどうばかりだ。特にお宝をボストンバッグに詰め込んできた社長は気が気ではない。
一行はひとまず永植の家に向かう。重苦しい一夜を明かしたスンジェは翌朝、様子を見てくるという永植について家を出る。社長が刺すような苦々しい視線を送っているが、おかまいなしだ。こうして自分の家まで行き、無事を確認したスンジェは、すぐに出て行こうとする永植をことば巧みに引き留めるのである。せっかく気兼ねなしに二人きりになったのだ。ここでしばし甘いときを過ごしてもいいではないか。かいがいしくビールを勧め、すっかり永植をくつろがせてしまうスンジェ。
彼女の危機脱出の武器は「相手の緊張を解く」ということだ。彼女は執拗に、ご飯を食べて行ったら、ビールぐらい飲んでもいいじゃない、一服しなさいよ、と勧める。行方知れずの社長の居場所を暴いて給料を支払わせようと待ち構える、総務課社員のイルソクにもその手を使う。共産主義に共鳴し、北に行くためにスンジェを捨て、北の侵攻とともに舞い戻ってスンジェに同志になるよう強要する元夫の張鎮にも同じ手を使って「武装解除」させる。その手口の鮮やかさはあっぱれだ。誰でも腹が減れば怒りっぽくなり、まともな考えができなくなる。そこにビールの一杯でも入ろうものなら、すっかりくつろいで気を許してしまうのは、言わずとしれたことだろう。こうしてスンジェは次々に危機を乗り越えていく。
こうしてみると、二人が似通っているのがよくわかる。ことば巧みに、相手の心をつかむその手口は持って生まれた才能かもしれないが、むしろ、死ぬか生きるかの危機に直面した時だからこそ、発揮する生命力そのもののような気がしてならない。
次回はお待ちかね、相手の心を巧みにつかむ2人の、ロマンスの行方に言及したいと思う。

 青嶋昌子 ライター、翻訳家。著書に『永遠の春のワルツ』(TOKIMEKIパブリッシング)。翻訳書に『師任堂のすべて』(キネマ旬報社)ほか。

2020-12-02 6面
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