北韓のハッカー集団が、武漢コロナワクチンの開発メーカーにサイバー攻撃を仕掛けていたことが明らかになった。
彼らはWHO(世界保健機関)の職員を装ったフィッシングメールを送り、システムに侵入しようとしたようだ。北韓ハッカー集団は国家による支援を受けているとされているため、いわば国家犯罪というべきものだ。
マイクロソフトの発表によればそうしたサイバー攻撃がこれまで複数回あり、北韓が二つ、ロシアが一つのハッカー集団で、被害を受けたのは米・加・仏・印・韓などの企業だったという。
北韓のハッカー集団は、スピアフィッシング・メール(特定の団体や組織を標的とし、信頼する人物を装って機密情報を収集しようとする電子メール詐欺)で攻撃したとされる。
幸いにも今回は成功しなかったようだが、サイバー強盗団は各国の金融機関や仮想通貨交換会社のシステムを次々とハッキングし、外貨を盗み出している。その被害額は累計で2200億円と見積もられている。そうしたサイバー強盗団を創設したのは金正恩だ。
外貨獲得機関の中枢は朝鮮労働党39号室という秘密機関で、北韓地下経済の総本山だ。朝鮮労働党中央委員会政務局に所属し、武器密輸、麻薬密売、通貨偽造など、カネになると見られるありとあらゆる不法活動を重ねている、金正恩の直属機関だという。
39号室はもともと、1974年に金正日が権力基盤固めに使う外貨を稼ぐ機関として設立された。120社ほどの企業がその傘下にあって、金・銀鉱山などの管理を独占し、水産物や松茸輸出なども手がけ、外貨を稼いできたという。金正日の長男である金正男が責任者を務めていたとされていたが、金正恩はその権限を掌握するために、刺客を差し向けて兄を暗殺したとの見方もある。
39号室の傘下には、金の生産、松茸・海産物の取引、貿易指導や朝鮮人参・宝石類の取引、貿易資金の管理、食料品・酒・タバコの取引、原油の取引などが知られており、林相鍾、金東雲、崔奉満らが最高幹部だという。
そうした地下企業が稼いだカネは金正恩に入る仕組みで、巨大な地下経済を形成しているということだ。それらの経済活動は国家の正式な予算には計上されず、金一族ファミリーの封建独裁強化の資金になっていると指摘されている。
そのような地下経済の存在が強盗国家の存続を可能とし、金正恩の権力基盤の根幹となっている。そのような犯罪国家は世界中を見渡しても見当たらない。文在寅政権はそのような実態を認識して北韓を支援しようとしているなら、これまた大きな問題だろう。
(韓登) |