北韓の人権問題に取り組む韓国の社団法人「北韓人権市民連合」は9日、ソウル市内で記者会見を開き、1959~84年にかけて行われたいわゆる「北送事業」の犯罪責任を国際司法の場で立証するよう、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)などに求めた。
同連合は、これを主導した労働党在日支部(朝総連)が「北韓政府の指示を受け、虚偽の情報で大規模な宣伝活動を行った」としており、北送事業が広範囲にわたって行われたのは当時の日本政府と旧ソ連政府、日本赤十字社、赤十字国際委員会などの支援があったためと指摘している。
北韓は厳密な階級社会だ。「地上の楽園」であると騙された在日朝鮮人たちは、北韓に到着した瞬間から最下層の要監視対象者、つまり「敵対層」に分類され、差別された。極貧生活を強いられた彼らは日本の親族からの仕送りに頼るほかなく、結果的に北韓当局による人質となったのだ。
北送事業では、最終的におよそ9万3000人の在日朝鮮人が北韓へ渡ったが、その8割が最初の2年間で渡北した。以降、その流れが途絶えたのは、先に渡った人たちが「楽園などではない」という真実を手紙で届けたからだ。
しかし、日本共産党はその後も熱心に北送事業を推進し、最後まで在日朝鮮人たちを北の凍土に送り続けた。日本はこのことを自覚し、厳しい自己省察を行う必要がある。 |