コロナ下の現在、韓国では児童生徒数を制限し、登校とオンラインとを組み合わせ授業を行っている。一方、日本の学校ではオンライン対応が2割程度しか整っていない。未だコロナ終息が見えないなか、教育現場ではオンライン授業の質も含めた環境整備が必要不可欠だ。韓日における現状を取材した。
韓国では、政府が作ったウェブサイト「e学習の場」や民間アプリを利用したオンライン授業が行われている。オンライン空間に課題や宿題を載せ、それをもとに学習を進める。生徒や教師だけでなく、保護者も学習進行の様子を全て見ることができる。そのため教師側は父兄に監視されているようだと感じ、親は自分の子が提出した課題を他の父兄に知られてしまうのを嫌がるという声が聞かれる。また、課題を親が手伝ってしまうため誰のための学習なのか、本末転倒だとの指摘もある。
 | 韓国で配信されている「オンライン授業の作り方」動画。日本でも同様に様々な支援動画がアップされている。 | 学力格差の増大も無視できない課題だ。自主的に学習できる能力や環境を有している生徒は成績が上がるが、学校で教師や友人との叱咤激励が必要だった生徒は、非対面の長期化によりモチベーションを維持できないでいる。もともと勉強に関心が向かない生徒は、自宅で学習を進めること自体が難しい。
各自の理解度を確認したり、やる気を持続させる難しさは日本でも同様だ。だが、授業のオンライン化が遅れているため、都心部と地方でインフラの整備にそもそも格差がある。そのようななか、学習塾がいち早くオンライン化を進めたため、地域に関係なく授業を受けられる塾に期待が寄せられている(学習アプリ等開発会社が行った保護者対象アンケートによる)。
オンライン授業は、教える側にとっても新しい経験だ。両国ともに、手探り状態で悩む教師に向けて助けとなる動画が配信されている。HPを検索すると「双方向授業の達人になる方法」や「初心者教師のためのYouTube授業動画作成講座」などのタイトルが並んでいる。在宅勤務の合間に、配信されている授業動画を見比べて、授業のオススメベスト10を紹介している父兄のSNSも見受けられた。
これまで授業は、教室という閉ざされた空間で行われてきた。過干渉は問題だが、授業風景が親の目にも見えるようになったのは悪いことではない。地域に関係なく優れたコンテンツを得られる可能性も出てきた。YouTubu動画だけで、大学レベルの数学検定に合格した小学生もいるという。無理して登校する必要はないと考える親もいるだろう。オンライン授業の課題は、学校とは、教育とはという根本的なところから見直すべきものなのかもしれない。 |