コロナ禍で飲食・遊技業などの余暇産業が苦境にあえいでいるが、苦しくとも営業せざるを得ないというのが実情だ。中でも、在日の基幹産業とも言えるパチンコ・飲食店は、とりわけ困窮した状況に追い込まれている。
休業要請に応じないパチンコ店などが物議をかもしたこともあったが、現実として、わずかな休業が文字通り「店をたたむ」ことになってしまう。
売上高が大きいため、儲かっているというイメージがあるパチンコ業だが、実際は経費の約80%は固定費だと言われている。これは、売上げが20%下がれば利益がゼロになってしまうということだ。
パチンコホール「後楽園」などを経営する尹一好氏は、「助成金に関しては可能な限り申請させていただいているが、全く追いつかない。金融機関からの返済を利息のみに変えたりしながら、何とかしのいでいる」と苦しい近況を語った。「雇用調整助成金が出ているため、スタッフの給料は払えているが、維持費だけで毎月数千万の出費がある。損失を埋めるため、少なくない額の私財を投じている状況」だという。
あるパチンコ経営者は、「売上げは3割減。コロナ禍は長期的なものだから、これから回復するというような希望もないと思う。パチンコは維持費や初期投資費がものすごくかかる業種なので、新しい試みも難しい。アニメ機種など、最近の若者の関心を引くよう努力してはいるが、衰退は避けられない」とコメントした。
遊技機の毎月のリース費用がかさみ、家賃は数百万円。国の休業補償では焼け石に水だ。
一方、飲食店も同じく苦境に立たされている。飲食店はとりわけ損益分岐点比率が低くなりがちな業種だ。もともと営業利益が小さく、体力のない個人経営の飲食店などは、1カ月の休業が致命的な損失になり得る。
「焼肉李苑」などを経営する姜在根氏も、「状況はかなり厳しい」と言葉を濁した。
姜氏は、「8月の感染者急増を受け、売上げが再び落ち込んだ。特に、クラスター源として叩かれた新宿近辺の店舗は通常時の1割」と淡々と述べた。会社員がターゲットでもあるので、テレワークで外出しない状況もダメージが大きい。デリバリーやテイクアウトなども行っているが、やはり店舗に来てもらうことを前提に考えた業界なので『withコロナ』が難しい。正直、持久戦です」と語った。
コロナによる自粛期間中、休業要請に従わない経営者が厳しい批判にさらされることもあったが、「それでも店を開けざるを得なかった」というのが実情のようだ。
緊急事態宣言は解除されたものの、現場の苦悩はまだまだ続きそうだ。 |