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最終更新日: 2020-05-22 06:51:26
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2020年05月20日 00:00
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東京測地系→世界測地系 米中対立の及ぼす影響
容易ではない市場の対中依存からの脱却

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、米国や日本では4~6月期の成長率が2桁のマイナスになる見込みである。感染者数の減少に伴い、段階的に経済活動を再開する動きが各国でみられるようになった。世界経済の回復には各国の対策とともに国際協調が欠かせないが、トランプ大統領がウイルスの発生源とみられる中国の姿勢を厳しく批判したことから、米中対立が再燃し、世界経済の回復にマイナスになる恐れが出ている。こうしたなかで最近、ナバロ大統領補佐官が、中国が中心になっている現在のサプライチェーンを、米国が同盟国や台湾との協力を通じて再編しようと提言した。
昨年の米国の対中輸出依存度(輸出に占める対中輸出の割合)が6・5%であるのに対して、対中輸入依存度は18・1%と、輸入面で中国に大きく依存しているのが現状である。経済のグローバル化に伴い、中国が衣服やIT機器などの完成品だけでなく、素材や部品、産業用機械でも主要な供給先になっていることを反映している。
ナバロ補佐官はトランプ政権の対中政策に強い影響力をもつだけに、その発言は看過できない。実際、米国の対中貿易赤字の是正と中国による不正な手段を通じたハイテク技術の取得を防ぐ目的で、長いあいだ経済制裁を強く求めていたのが同補佐官である。
日本でもコロナウイルスの感染が広がるなかで、マスクをはじめ自動車部品や住宅設備機器の部品などの調達に支障があらわれたことから、中国への過度な依存を見直すべきであるとの声が再び大きくなった。再びというのは、2012年に中国で大規模な反日デモが発生した際に中国への一極集中リスクが指摘され、企業の間で「中国プラス1」の動きが広がったからである。中国における生産コスト上昇もこの動きを後押しした。
その後の動きはどうであったのか。日本の対中輸出依存度は11年の19・7%をピークに、15年に17・5%へいったんは低下したものの、その後再び上昇し19年は19・1%になった。他方、対中輸入依存度は16年に25・8%まで上昇した後低下し、19年は23・5%となった。「中国プラス1」の動きがある程度進んだと言われているにもかかわらず、貿易面での対中依存がさほど是正されていないことを示している。
対中輸入依存度が上昇したのは、生産拠点の分散がある程度進んだ一方、調達先としての中国の存在が大きくなったことがある。他方、対中輸出依存度がさほど低下しないのは、相対的に高い経済成長率と中国の市場規模の大きさが影響していると考えられる。
国際協力銀行(JBIC)が毎年実施する海外事業展開に関するアンケート調査によれば、中期的に中国を有望事業展開先とする得票率(複数回答)は13年度に37・5%にまで低下した後、再び上昇し、18年度には52・2%になった(19年度は米中対立の影響で44・6%へ低下)ように、近年、日本企業の間で中国への関心が再び高まっている。中国を有望視する最大の理由はその市場規模にあるが、最近ではオープン・イノベーションの連携先として上海や北京を選ぶ企業が増加している。中国への関心が生産コストの低さから市場の成長力、そしてイノベーションを生み出す場にシフトしている。この背景には、中国の巨大市場にアクセスするうえで革新的技術を備えることが不可欠になっていることがある。インターネット市場や電気自動車などがその例である。
以上の点を踏まえると、サプライチェーンの見直しが進んでも、市場面で中国に依存する状態は当面続くと考えられる。韓国でも、ベトナムに生産拠点を移す動きが続いているが、半導体やAVバッテリーなどは中国市場が成長のカギを握っている。中国ビジネスをどう進めていくのか、今後も大きな課題である。
(日本総合研究所 向山英彦)

2020-05-20 2面
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