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最終更新日: 2020-03-25 00:00:00
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2020年03月18日 00:00
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【BOOK】「黒山」(金薫・著/戸田郁子・訳)
朝鮮王朝時代、天主教信者への迫害を背景に描かれる人間たちの営みと願い

 19世紀の朝鮮王朝時代、幼い王の摂政として実権を握る大妃は、天主教(カトリック)こそが蔓延している疫病や飢餓の原因とし、信徒を邪学罪人として厳しく弾圧した。それでも人々は、「ただ降る雨に服が濡れるように」その教えに染まっていく。それはなぜか―作者は信仰を背景に、その時代に営まれた世俗の暮らしをダイナミックに描き出す。登場人物は実に多彩だ。流刑地「黒山」へ送られる儒学者、島に暮らす純真な少年、道を歩くことで人生のほとんどを過ごしている馬夫、16歳で科挙に合格した天才青年、生きるために密偵となる捕盗庁の役人、汁飯屋の女主人、老いた元宮女、逃亡してきた奴隷の少女などなど…。天主教を巡って交錯し、断じられる彼らの人生一つ一つから、膨大なエネルギーがあふれてくる。それらは黒山を囲む海が見せる様々な表情、発せられる生命力と重なっていく。
本書は一度読み始めたら、その引力に抗えない。終盤で、流刑となった儒学者が「黒山を玆山に代えて(ここで)生きていこうと思う」と話す場面がある。理由を問われて「黒は恐ろしい。玆の中にはかすかではあるが、光がある」と説明する。ここで初めて、その引力から解放される思いがした。
クオン刊
定価=2700円(税別)

2020-03-18 6面
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