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最終更新日: 2020-01-29 00:00:00
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2019年12月11日 00:00
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「北送」を俯瞰する 新潟大学がシンポジウム開催

 新潟大学経済学部が主催した「第2回学際日本学キックオフ・シンポジウム」が新潟大学駅南キャンパスで7日、開催された。シンポジウムは「在日朝鮮人『帰還』事業開始から60年目の再考」と題し、北送事業を日朝関係史・ヨーロッパ史・日ソ関係史の観点で分析し、グローバルな意味合いを見出すことが狙いだ。当日は約50人が参加し、活発な意見交換が行われた。

 開会のあいさつを行った新潟大学人文学部の番場俊教授は、北送事業問題を含むさまざまな問題に対する日本の姿勢として、「大掛かりな記憶喪失」という表現を用いた。番場教授は、「過去を忘れていく流れに抗っていきたいと思った」とシンポジウムの開催に至った心境を語った。
北韓関連問題に東独という視点を当てたカルボネ准教授
 基調講演は法政大学国際文化学部の高柳俊男教授が務めた。講演の中で高柳教授は、「単純な善悪二分法的認識を避け、あらゆる観点から複雑な歴史を複雑なままに捉えることが重要だ」と語った。また、我々にできることとして、「脱北者に対し、就職・言語・生活全般にわたる支援を考えること」と述べた。これは韓国における北朝鮮学女性博士第1号の李愛蘭さんが批判する、現政権下で韓国社会が直面している問題にも通ずる。日本においても「脱北者が自律的に自助の精神に基づいて自立定着に成功するよう導くこと(李愛蘭さん)」が重要だ。
本紙にも寄稿しているルーヴェン大学文学部のアドリアン・カルボネ准教授は、東独外交文書を手掛かりとして当時の北韓に光を当てた。少なくとも日本において、北送事業を省察する場で第三国視点から俯瞰する見解はかなり新しい。
東独は北韓と国交を結んでいた数少ない国の一つだ。カルボネ准教授は東独の北韓関連の外交文書をもとに、第三国から見た北送事業を説明した。カルボネ准教授は、「ブルガリアやポーランドなど、ほかの社会主義国陣営にも北韓に対する文書が保管されているはず」として、「それらの解読によって北送事業の全体像を正確に把握したい」と語った。
新潟大学経済学部の左近幸村准教授は、新潟とソ連の貿易に関連し、訪朝も果たした北村一男新潟県知事に焦点をあてた。北村知事は訪朝後、北韓やソ連との貿易に展望を見出したという。様々な思惑のなか実行された北送事業だったが、対岸貿易への期待もあったという観点を提供した。
フロアとの質疑応答では、「なぜ帰国事業が行われたのか」「そもそも帰国事業は正しかったのか」「北韓と共存する道はあるのか」など質問が相次ぎ、参加者の北送問題に対する関心の高さがうかがえた。
史実がつまびらかになり、今起きている・あるいはこれから起こりうる問題を解決する一助となるのが望ましい。一昨年の12月に、脱北者を支援する韓国の団体が政府からの支援を打ち切られたことからも、現政権が脱北者の問題に対して消極的なのは明らかだ。今年の7月末には、ソウル市で脱北親子が餓死する事件も起きた。北送事業を通して現在起きている事件にも幅広い関心が寄せられ、積極的な問題提起が為されていくことに期待を寄せたい。

2019-12-11 4面
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