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最終更新日: 2020-01-22 00:00:00
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2019年11月13日 00:00
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個性的な作家陣が来日 都内でK-BOOKフェスティバル

名は体を表すという言葉があるが、著書が作者を表すという言葉がピッタリの2人が9日、都内で開かれたK―BOOKフェスティバルでブックトークを行った。このイベントはK―BOOKフェスティバル実行委員会が主催。日本の版元19社と韓国の3書店が一堂に出店し、ゲストトークやクイズなどを大勢の来場者と共に楽しんだ。

「女性が新しい言葉で語り始めた」 イ・ミンギョンさん

 2016年5月17日、江南駅付近で起きた女性殺害事件がきっかけだったという。当時の韓国社会では、事件が起きる1年ほど前からオンライン上でフェミニズムに関する議論が出始めていた。事件をきっかけに大きな流れが巻き起こる。この動きを風化させてはいけないと、イ・ミンギョンさんは9日間で『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』を書きあげ、SNSで仲間を集い、出版社を立ち上げて本書を発行した。まさに行動ありきの女性だ。
「女性たちが、事件について考えたことや自分たちの経験談を、新しい言葉で語り始めたと感じました。それまで生きてきた社会の規範に縛られない言葉、自分たちの思ったままを伝える言葉という意味で新しいと。たとえば、これまで韓国の女性は嫌な会話を拒否する言葉を持っていませんでしたし、拒否してもいいということすら知らなかったのです。
韓国社会では様々なテーマでムーブメントが起こっています。私たちもフェミニズムということに関して、女性性の表現についてそれまで無視されてきたことを語り始め、クローズアップする運動を行っています。これまで女性として育てられ『女性はこうあるべきだ』とか『こういうのが女らしい』という外部から押しつけられる概念を排除し、化粧やハイヒールは強制されるものではなく、個人の選択によるものだとの主張です。これは主に女性の体のことを中心に展開されており、脱コルセット運動といわれるものです。
この社会を変えなければいけないと考える女性が多くなったと実感しています。韓国の女性は行動して、成功であれ失敗であれ、何らかの試みをして経験を積み重ねていますから、何かをすれば変化するといった意識が育ってきたのだと思います。この流れを直接行動主義と呼んでいる人もいます。もちろん抵抗や反発も多くありますが、社会は常に動いているものですから、これからも何らかの変化が起こるだろうと期待しています」 

著書:『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』
イ・ミンギョン著すんみ 小山内園子訳
タバブックス刊 1700円(税別)


「小説は時間で書いていくもの」 イ・ギホさん

 1999年に作家デビューを飾ったイ・ギホさんの日本初紹介作品が昨年10月に翻訳出版された『原州通信』である。訳者の清水知佐子さんは「あまりにもリアルな話で、作者の体験談に違いないと信じていました」と語る。その真偽を問われたイ・ギホさんは、小説の中の「ぼく」を彷彿させる語り口で話し始めた。
「この作品は15年前に書いたものです。いまより小説の技術が未熟でした。依頼を受けたものの、何も書けないまま締め切りが目前に迫っていたという状況に陥ったため、良く知っていることから書き始めました。作品の舞台となった原州は私が高校卒業まで暮らしていた町ですし、登場する場所は私の経験に基づくものですが、出来事はフィクションです。
原州には米軍がいました。軍の部隊があちこちにあって、朝は部隊から聞こえてくる起床ラッパの音で起きた記憶があります。色で例えるとグレーのイメージ。文化的なアプローチをしようという空間はありませんでしたね。代わりに、飲み屋さんは多かったです。そんな場所に『土地』の作者である韓国文学界の重鎮、朴景利先生が突如引っ越していらした。幼い私にとって、韓国の有名な作家が同じ町に住んでいるということはとても不思議でした。おそらく、私が文章を書くようになった小さな種のような役割を果たしたと思います。
当時、私が知っている有名な作家さんは、現代史における悲劇の縮図がその家族に表れているようななかで育った人が多かったので、平凡な家庭の自分は作家にはなれないと思っていました。それでも他にやりたいこともないので、間断なく文章を書き続けていたらいつの間にか作家になっていました。
今私は、小説や散文は時間で書いていくものではないかと思っています。作家というのは原稿を何回読んで何回直せるか、そういう作業ができる人がなれるものだと考えています。実は明日が締め切りの小説を抱えています。すでに書きあがってはいるのですが、このあとホテルに帰ってもう一度見直すことになるでしょう。たとえほろ酔い加減でも」

著書:『原州通信』
イ・ギホ著
清水知佐子訳
クオン刊
1200円(税別)

 

2019-11-13 6面
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