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2019年10月24日 00:00
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【映画】「EXIT」(韓国)
ダメ男が危機に際し知恵と勇気を絞り出す

必死に脱出を図る2人©2018CINEGURU KIDARIENT & YONG FILM. All Rights Reserved.
 韓国で940万人の観客を動員したサバイバルパニック映画。原因不明の有毒ガスが覆い始める大きな都市で高層ビル群に取り残された男女2人が外壁をよじ登り、飛び移り、さらに走って脱出を図る。まるでスパイダーマン。はたして彼らは「出口」を見つけることができるのだろうか。観客はジェットコースターに乗った時のように力が入りすぎて、すぐには立ち上がれない人も出てきそうだ。
この作品を一言でいうと「ダメ男の起死回生の物語」がふさわしいかもしれない。就活に失敗し続け、いまだに無職のヨンナム(チョ・ジョンソク)は70歳を迎える母親(コ・ドゥシム)の古希を祝う会で、大学時代に振られたことのある山岳部の後輩ウィジュ(「少女時代」のユナ)とバッタリ再会する。「あの時は傷つかなかった?」と気遣われ、「全然」と強がりを言う惨めさ。
そんな彼を変えることになったのが、街を混乱に陥れた正体不明の有毒ガスだ。次々と倒れる客を見てヨンナムは、この店の副店長というウィジュと協力し屋上を目指すが、カギがかかって外へ出られない。そこで外壁をよじ登って屋上まで上がり、カギを開けることを思いつく。役に立ちそうもなかったロッククライミングのスキルを使って自分のみならず何人もの仲間を助ける機会が訪れたのだ。その勇気に、彼を見るウィジュの目線も変わる。
追い込まれたヨンナムが勇気と能力を引き出していくように、イ・サングン監督はヨンナムにチョークを粉にして滑り止めに使わせたり、スマホをSOSのモールス信号を発信する道具に変えさせたりもする。人間を変えるだけでなく、日用品までサバイバルのための小道具に生まれ変わらせるのだ。役に立たないように見える物も、見方を変えれば役に立つことがあると言いたげである。
教訓めいたメッセージはほかにもある。危険が迫り、客を置いて逃げ出す店長に対し副店長のウィジュとヨンナムは、救援のヘリコプターが来れば人数の多いほかのグループにチャンスを譲ろうとする。困っている人たちを見て見ぬ振りができないのである。これはセウォル号の船長を批判し皮肉っているのだろう。
本作品は人がいつパニックに巻き込まれてもおかしくないし、またそんな時はどういう心構えと行動が求められるかを考えさせられる作品だ。たまたま日本国内では台風19号による大雨被害に国中が揺らいでいる。有毒ガスと洪水や土砂災害の違いはあっても、諦めずに生き抜くことが大切という点では共通する。それともう一つ、ドローンが活躍するという点も今の時代を表している。

(紀平重成 アジア映画ウオッチャー)

公開=11月22日(金)より新宿武蔵野館ほか。
公式HP=https://gaga.ne.jp/exit/

2019-10-24 6面
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